Uターン推進元年

 5月末にあった島根県立大の中期目標を検討する会議での議論を聞き、思わずうなずいた。委員の一人が、新卒で就職して3年以内に転職を志す「第二新卒」のUターンに力を入れてはどうかと提案した▼第二新卒は大卒で3割を超える。昨年度23%だった浜田キャンパスの卒業生の県内就職率を上げるには、県外に出た卒業生の情報をデータベース化し、教授らが時期を見てUターンを働き掛けてはどうかとのアイデアだった。話を聞いて高校でも応用できると思った▼人口減少の大きな要因は昔も今も若者の流出だ。地方創生が叫ばれ、全国の他自治体との地域間競争の中でのIターン者獲得よりも、Uターンを進めることが人口対策に有効であり、予算を重点配分すべきだと考える▼効果的な施策を打つには、親の意識や都会に出た人たちが何を求めているかの分析に加え、判断材料になる情報を届ける仕組みが重要になる。ふるさと教育や、多様な雇用創出など産業振興が基本であることは言うまでもない▼都会で暮らしながら帰郷したいと考える人はいる。今春、友人の女性が高校卒業以来25年ぶりに横浜市から松江市に戻った。給料は下がったが通勤ラッシュがないなどゆったりとした時間が流れ、「人間らしい生活が送れている」と喜ぶ▼県が全国に先駆けて定住財団を立ち上げ「定住元年」を宣言してから25年がたつ。節目の年を「Uターン推進元年」と銘打ち、親たちが堂々と「帰ってこいよ」と言える環境づくりを進めたい。(添)

2017年6月15日 無断転載禁止