悲しみから希望へ

 子どもたちの笑顔から未来への希望を感じた。国の天然記念物に指定されているコウノトリの誤射が起きた雲南市大東町にある市立西小学校で4年生児童が、コウノトリの生態をテーマに総合学習を始めた▼今春、つがいが同町内で巣を作り、ひな4羽の誕生で地域は喜びに包まれた。児童たちも保護者と一緒に優美な姿を観察し、無事巣立つよう願っていただけに、誤射で雌が死に、ひなが兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)に移されたショックは大きかった▼しかし、和田邦子校長が、いつまでも悲しみに浸るのではなく、「不幸な出来事を乗り越え、子どもの心情を育みたい」と学習を始めた。児童は雌を失った雄の「げんきくん」が雲南に戻ってきたことを喜び「元気づけたい」と思いを寄せる▼絶滅の恐れのあるコウノトリを通じ、生き物への愛着や、生命の神秘、雲南の里山環境の素晴らしさなど多彩な学習へ道が開ける。西小では教員が豊岡市の同公園と、先進的な教育を行う小学校を視察。独自の教材を制作する▼雲南市には現在、6羽のコウノトリが飛来。専門家は、保護繁殖活動に取り組む豊岡市以外では「雲南が国内でも有数の生息地」と位置付け、来春以降も、つがいが巣を設けて、ひなの誕生を期待する▼多様な生物がすむ自然を守り、コウノトリと共生する地域づくりは、人も住みよい環境に通じる。古里への愛情と誇りを育む学習が、雲南市内に広がり、次世代のまちづくりを担う人材育成に結実するよう願いたい。(道)

2017年6月18日 無断転載禁止