レッツ連歌(下房桃菴)・6月22日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 同じ作者のかたから、2句も3句もおもしろい作品をいただくことが、よくあります。そんな場合でもこれまでは、ご紹介するのは1句に限らせていただいておりました。それは他の文芸欄でも、おそらく同じだと思います。

 しかし、考えてみると、確かにそうしなければならない理由はないし、第一、いい作品を「ボツ」にするのは、もったいないことです。そこで連載555回を記念して、今回は思い切って、私の気に入った句はすべて入選、ということしてみました。

 いかがなものでしょう。

           ◇

◎カチャカチャとうるさいだけのタンバリン

デイサービスは今日も楽しく  (奥出雲)松田多美子

◎お神楽の恵比須(えびす)大黒飴(あめ)を撒(ま)き

傘をひろげて逆さまに持つ   (松江)田中 堂太

◎CMは陰の努力は見せず痩せ

(挿絵・Azu) 
個人差ありの文字の小ささ   (益田)可部 章二

◎店出せるほど腕上げた磯料理

水掛不動に両手合わせて    (松江)岩田 正之

気立てよい人早く見つけて   (益田)兼子 哲彦

おかげで子らは魚嫌いに    (出雲)飯塚猫の子

◎二階からお軽が試すイナバウアー

酢がよいと聞き飲んだ一升   (浜田)滝本 洋子

◎そば食っておんなじ話して帰り

息子の嫁になってください   (出雲)原  陽子

◎大将が得意の押しをうっちゃられ

注文されぬ今日のおすすめ   (松江)土江 ユミ

俄(にわか)力士はラグビー部から    (松江)花井 寛子

◎親戚をめぐって地球一回り

冥土の土産またひとつ増え   (松江)加茂 京子

◎ター坊とまだ呼ばれてるお父さん

今も生きてる下町人情     (松江)西坂 瑞人

熟年バンドいまも健在     (浜田)松井 鏡子

◎同僚の祝辞が長い披露宴

原稿用紙十二枚分       (益田)黒田ひかり

タレ流してる個人情報     (益田)石川アキオ

銚子(ちょうし)両手にヤケ酒を盛り(広島・北広島)堀田 卓爾

みんなスマホでゲームに熱中  (出雲)石飛 富夫

◎週末を過ごすハワイの別荘地

嘘(うそ)だったのかあのプロポーズ  (米子)佐々木浩子

納豆梅干し揃(そろ)うコンビニ    (松江)岩田 正之

朝から晩まで付句考え     (松江)植田 延裕

◎子や孫に背中押されてフルムーン

かたじけなさに涙こぼるる   (松江)庄司  豊

世界中から送る絵はがき    (出雲)野村たまえ

お土産狙いみんなミエミエ   (松江)野津 重夫

自動改札やっと通って     (出雲)矢田カズエ

二人きりだと話すことない   (浜田)佐々木わこ

ああ疲れたワ家が一番     (江津)江藤  清

◎ニッポンを見たい異国の客が増え

クルーズ船の着く港町     (雲南)板垣スエ子

境港に百台のバス       (松江)河本 幹子

辞書を片手に乗るバスガイド  (松江)野津 重夫

あの手この手の大争奪戦    (浜田)放ヒサユキ

十年ぶりに銭湯復活      (浜田)松井 鏡子

学芸員は趣向凝らして     (松江)持田 高行

小さくなった案内の文字    (益田)石田 三章

二か月待ちの田舎体験     (出雲)野村たまえ

築百年の茅葺(かやぶ)きの宿      (飯南)塩田美代子

ズルッズルッとうどん食べてる(奥出雲)松田多美子

霞が関にはSONTAKUがある(松江)水野貴美子

◎大臣の一語一句が軽すぎて

あくびの続く国会中継     (益田)大居 鴻介

舌打ちをして電源を切り    (浜田)勝田  艶

その舌切ってやるとバアちゃん (雲南)錦織 博子

◎からくりの山車街中を練り歩き

赤字続きで存亡の危機     (松江)植田 延裕

◎はじめてのおつかい海外渡航編

ハローって言ったらコンニチハだと

               (出雲)矢田 千夏

◎おみやげの本の感想書かされて

なかなか抜けぬ教壇の癖    (江津)花田 美昭

◎棚田には牛の姿がよく似合い

土手の草刈り山羊(やぎ)に任せて   (出雲)吾郷 寿海

鉄穴(かんな)流しでできた産物     (雲南)板垣スエ子

スマホの写真みごと大賞    (江津)花田 美昭

俄芝居の脚はチグハグ     (雲南)横山 一稔

◎ボス猿のニラミひとつでチャラになり

証人喚問またも叶(かな)わず     (松江)高木 酔子

◎魔除(まよ)けとて女装をさせる三歳児

ヤキモチを焼く四歳の姉    (益田)石川アキオ

だれに似たのかおてもやん風(出雲)はなやのおきな

◎捨てられぬ困ったジジの大勝利

五百五十五枚の切り抜き    (松江)佐々木滋子

           ◇


 「一語一句」に付けた、艶さんと博子さんの句―。どちらも、「舌」と「切る」ということばが使われております。もちろん、これは偶然ですが、大勢でワイワイやっていると、ときにこんなおもしろいことも起こるのですね。

 7月2日のパーティーが楽しみです。

           ◇

 次は、今日の入選句に五七五(長句)を付けてください。

(島根大学名誉教授)

2017年6月22日 無断転載禁止

こども新聞