紙上講演 元NHKアナウンサー 宮田 修氏

宮田 修氏
日本人が忘れてしまったこと

命のリレー中今を生きる

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が20、21の両日、浜田市と益田市であり、元NHKアナウンサーで熊野神社(千葉県長南町)宮司の宮田修氏(69)が「日本人が忘れてしまったこと」と題して講演した。宮司になろうと古典を学ぶうちに、戦後の社会で失われた古くからの生命・倫理観に気付き、その大切さを説いた。要旨は次の通り。

 街中に出ると面識がない人から注目される。視聴者は日常生活や放送で気になる点があると、すぐに電話で苦情を寄せ、週刊誌に書かれることもある。アナウンサーはストレスがたまる仕事で、休日だけはのんびりしたいと思い、千葉の田舎に古民家を借りて家内と週末に通っていた。すると、たまたま大家さんが宮司で跡継ぎがいなかった。「人助けですから」とお願いされて、53歳で宮司になるのを引き受けた。

 宮司の資格を取るため通信教育で勉強を始めた。仏教にはお経、イスラム教にはコーランという教典があるが神道にはない。古事記、日本書紀や万葉集などを読み、日本人の伝統的な考え方をくみ取った。そのうち、いかに戦後の日本人が伝統的な考え方を勉強していないか、気付くようになった。

 かつて日本人は、命を自分だけのものと考えていなかった。長い時の流れの中にある今を「中今(なかいま)」という。命は両親や祖父母、先祖からリレーされ、私たちは「中今」を生きている。配偶者を得て子どもが生まれ、命を引き継いでいくものと考えてきた。

 今は自分のルーツを知らない子どもがほとんどになった。家庭でも学校でも教えられない。それを知り、先祖からのつながりがあって、ここにいるのを自覚すれば心が穏やかになり、いじめもなくなるはずだ。

2017年6月22日 無断転載禁止