急がば回れ

 巨人なのに、小さく見える。球団ワースト記録の13連敗を喫するなど、不振を極めたプロ野球界の「盟主」が、立て直しの大なたをどう振るうか。注目の一手は、チーム編成を担うゼネラルマネジャー(GM)の更迭。その場しのぎに映る▼不振の一因は補強した選手の不調。資金力などを武器に、他球団の有力選手をかき集める戦術はもろい。目先の結果を追って失敗を恐れ、改革に及び腰になるのか。手っ取り早い策に走ってきたつけが出た▼対照的に、広島カープは伝統的に育成を重視。連覇を狙う今季も首位を快走し、強さを保つ鍵は編成と育成の両立にあることを実証する。巨人も昔は河川敷の多摩川グラウンドで若き日の長嶋や王、中畑、篠塚らに猛練習を積ませ、才能と組織の強さを磨いた▼後任のGMは名リリーフ投手だったOBの鹿取義隆さん。現役時代は連日、要所で起用され「かとり大明神」と呼ばれた。いまだに鹿取頼みなのは情けないが「多摩川世代」の経験は育成に生きるはず。幼い頃からチーム戦術に合う選手を育てる欧州サッカー界のような仕組みの構築など、巨人だけでなく、球界全体を元気にする球を投げ込んではくれまいか▼巨人を生涯のライバルとした野村克也さんは、ヤクルトなどで無名の若手やベテランの力を見抜き、編成と育成を両立させた▼いわく「指揮官の重要な仕事は人づくりだ。組織はリーダーの力以上には伸びない」。急がば回れ。リーダーには最善の道を選ぶ眼力と進み続ける胆力がいる。(杉)

2017年6月23日 無断転載禁止