織り込み済みの攻防劇

 30歳を超え、体の衰えを感じる。徹夜もそうだ。昔は平気だったのに、今では夜が更けるにつれて思考能力が鈍り、頭もくらくらする▼初めての国会取材は終盤で荒れた。テロ等準備罪を含む組織犯罪処罰法改正案を巡り、与党は参院の委員会採決を省く中間報告を選択。衆参両院の本会議が14日午後から夜通し開かれ、参院は翌朝まで続いた▼ルール違反ではないが、強行な手段に映るのは当然。疑問点も多く残るテロ等準備罪について、会期を延長しての議論があると思っていた。ただ、加計学園(岡山市)の獣医学部新設問題で野党が安倍晋三首相への追及を強めようとした矢先で、ある議員は「官邸はそうとう嫌がっている」と幕引きの理由を予想。実際、閉会後に新たな文書の存在が明らかになった▼慌ただしくなった国会内の廊下では「民主主義を壊すな」と大声が響いた。部屋に入れさせまいと野党議員が押しかけ、女性議員は壁を作って抵抗。普段の倍もの記者が一挙手一投足を追う▼「重要法案の議論を尽くせ」「そっちが審議を打ち切った」。傍聴した深夜の本会議も怒号が飛び交った。眠いはずの頭は興奮し、帰宅後もしばらく寝付けなかった▼しかし、「民進党などは本音では会期内に収めたかった」と取材で聞いた。23日に告示された都議選で大苦戦が予想され、できる限り注力したいからだと。真剣勝負に見えたやりとりは全て織り込み済みの政治的パフォーマンスだったのか。壮大な攻防劇の空虚な舞台裏を垣間見た。(築)

2017年6月24日 無断転載禁止