楽観的に、悲観的に

 アイドルグループAKB48恒例の選抜総選挙は、悪天候のため屋外興行を取りやめ、無観客の屋内で開票結果を発表した。ファンが大挙して訪れるはずだった沖縄の観光業界は上空に居座った梅雨前線を恨めしく思ったろう▼屋外中止を聞き、胃が痛くなった経験を思い出した。6年前、夜神楽公演の運営に携わった時。松江城山公園での開催が近づくと、降水確率が上昇しだした▼岩手や宮崎など遠来の社中に無駄足を踏ませるわけにはいかず、急きょ屋内会場を準備。前夜はろくに眠れなかった。幸い雨は降らなかったが、屋外の興行はまさに水ものと思い知らされた▼ただし、リスクばかりを考えるあまり、立ち止まっていては事は前に進まない。そう教えてくれたのが、米子市内で聞いた体脂肪計で有名なタニタ関係者の講演だ▼成功の秘けつは楽観的な目標を立てて、悲観的なプロセスを考え、楽観的に実行すること。国内シェア1割以下で赤字だった同社は「体重計世界一」という楽観的で壮大な目標を掲げ、赤字のままでは不可能という悲観論が体重計一本に事業をスリム化させた。ここから安価な家庭用体脂肪計が生まれ、健康プロデュース企業へ脱皮するきっかけになった▼社員の楽観的思考は徹底している。有名な社員食堂の管理栄養士は「眠くてジョギングができなかった」とわびるダイエット挑戦者に「じゃあ布団の中でできることを考えようよ」と明るく持ちかける。ネガティブ一辺倒のわが身を振り返り、頭が下がる。(示)

2017年6月26日 無断転載禁止