運び方改革とAI

 週休3日制の正社員ドライバーの募集を、佐川急便が一部地域で始めた。深刻化する人手不足に逆行するようだが、1日10時間勤務に延長することで休日を増やし、ドライバー確保につなげるという▼宅配業界の働き方改革は「運び方改革」でもある。同様に週休3日制の導入を検討しているヤマト運輸は、来年度から人工知能(AI)を活用。過去の配達履歴などを分析して、誰もが効率よく配達できるルートを組み立てる計画だ▼AIの実力は将棋や囲碁のトッププロを負かしたことで実証済み。政府も成長戦略としてAIを駆使した自動運転技術に着目し、人が運転するトラックを無人のトラックが自動で追尾する隊列走行の実験を本年度に始める▼東京五輪が開催される2020年をめどに高速道路で実用化させたい意向。先日取材した日産自動車の西川(さいかわ)広人社長も「実現すれば日本の先進性を世界にアピールできる」と述べ、自動車業界全体で協調する考えを示した▼専門家によると、条件さえ整えば、技術的にはそれほど難しくないという。条件とは、道路に自動運転専用のレーンを設けること。であるなら、レーンが少ない山陰両県は蚊帳の外か。いつもながら交通インフラの格差を痛感する▼公共交通機関が脆弱(ぜいじゃく)な山陰で自動車は必需品。一般道で自動運転が実用化できれば高齢者の負担軽減につながるが、現状ではそこまでの進化は見通せない。AIの限界を見極め、社会生活にいかに有効に活用していくか。人間の知能も試されている。(健)

2017年6月12日 無断転載禁止