サクラクレパスを創設 佐武 林蔵(さたけ りんぞう)(鳥取県日南町生まれ)

美術(びじゅつ)教育振興(しんこう)に生涯(しょうがい)捧(ささ)げる

佐武 林蔵
 クレパスの開発に尽力(じんりょく)し児童画コンクールを設(もう)けるなど、日本の美術(びじゅつ)教育に大きな業績(ぎょうせき)を残した佐武林蔵(さたけりんぞう)(1886~1968年)は、鳥取県日南(にちなん)町豊栄(とよさかえ)の農家に生まれました。所蔵(しょぞう)していた日本を代表する作家らの美術作品をふるさとに寄託(きたく)。現在(げんざい)は、96(平成8)年に開館した日南町美術館(同町霞(かすみ))に収蔵(しゅうぞう)、展示(てんじ)してあり、美術教育振興(しんこう)に生涯(しょうがい)を捧(ささ)げた足跡(そくせき)の一端(いったん)を見ることができます。

 林蔵は現在の米子東(よなごひがし)高と筑波(つくば)大学を卒業し、1911(明治44)年から東京で中学校の英語教員を務(つと)めました。語学力を生かして欧米(おうべい)の文献(ぶんけん)を調査(ちょうさ)研究し、アメリカの小学校でクレヨンを使った図画教育を行っていることを知り、国産化による優良(ゆうりょう)な画材の必要性(せい)を感じます。

 21(大正(たいしょう)10)年、教員を退職(たいしょく)し、文具メーカー「サクラクレパス」(本社・大阪(おおさか)市)の前身を設立(せつりつ)しました。林蔵は、この会社で世界で初めてのオイルパステル「クレパス」を発明します。

 クレヨンにはない油脂分(ゆしぶん)を加えることによって軟(やわ)らかくなり、伸(の)ばしたり色を混(ま)ぜ合わせたりしやすい画材です。国内はもとより海外にも輸出(ゆしゅつ)し、有名になります。

佐武林蔵から寄託を受け、日南町美術館が収蔵、展示している絵画(一部)=2017年4月19日
 22(同11)年には東京で第1回児童画展を開催(かいさい)。この展覧会(てんらんかい)は、後に教育美術振興会に引き継(つ)がれ現在まで続いている、わが国で最も伝統(でんとう)ある子どもの絵の公募(こうぼ)展・全国教育美術展です。

 66(昭和41)年には教育美術振興会の初代理事として、教育美術に携(たずさ)わる教員の研究や実行に対して贈(おく)る教育美術・佐武賞を創設(そうせつ)しました。

 さらに地元関係では、ふるさとの教育文化発展を願って多額(たがく)の育英資金(いくえいしきん)と美術作品を寄贈(きぞう)しました。作品は梅原龍三郎(うめはらりゅうざぶろう)、川合玉堂(かわいぎょくどう)など有名作家らの絵画、彫刻(ちょうこく)や書です。

 また、育英資金(しきん)をもとに57(同32)年、佐武会を設立し、育英事業を管理運営(うんえい)。日野郡の伝統ある児童画コンクールに85(同60)年から賞も贈(おく)っています。

 林蔵は紺綬褒章(こんじゅほうしょう)と黄綬褒章(おうじゅほうしょう)を相次いで受章。教育美術振興会理事長と日本ユネスコ協会連盟中央委員在任(ざいにん)中の68(同43)年、81歳(さい)で死去しました。

2017年6月28日 無断転載禁止

こども新聞