アキのKEIルポ まるで指名するように 芝で迎える因縁の相手

 「たっちゃん(伊藤竜馬)がイチャモンつられて負けたので…、リベンジしたいです」

 わずか1時間12分で快勝を収めた、初戦後の会見でのこと。まだ決まらぬ2回戦の相手に、錦織はまるでS・スタホフスキーを指名するように、そう言った。

 伊藤とスタホフスキーの因縁とは、今大会の予選での一幕。試合巧者のスタホフスキーは、時に主審の判定にかみつき、時に霧雨をも利用しながら、伊藤のリズムを崩して4時間32分の死闘を制する。その相手との戦いを願う錦織の思いが届いたか、両者は2回戦で対戦することと相成った。

 錦織にとってもスタホフスキーは、過去2敗している相手。もともと錦織はスタホフスキーのような、スライスを多用するサーブ&ボレーヤーを苦手としたところがあった。

 だが、6年前のスタホフスキーとの初対戦時には、その弱点も克服し、自信を持って挑んでいたという。

 しかし結果は、敗戦。「まだこういう相手に勝てないんだ…」。胸をふさぐ苦しみを、彼はその後もよく覚えていた。

 その時から6年がたち、3度目の対戦は相手の土俵である芝で迎える。盟友の無念、そして弱点を克服し成長した己の姿……。この一戦で、錦織が示すべきものは多い。

◇フリーライターの内田暁さんがウィンブルドンから随時報告する。

2017年7月5日 無断転載禁止