特派員便り つかの間の休息

威容を誇る「ビッグ・ベン」。3年間の改修工事が始まっている=ロンドン
 ロンドン中心部、テムズ川沿いにそびえる高さ96メートルの時計塔。正式名エリザベス・ブリッジ。元は鐘の愛称だった「ビッグ・ベン」の名で、いつしか親しまれるようになった。

 建造から150年を超え、今年から3年間の改修工事中。時計塔は足場で囲われ、数カ月にわたり鐘が鳴らない期間もあるという。

 一時とはいえ、気品さえ漂う威容や時を告げるシンボリックな響きとの別れを思うと寂しいが、これから何世紀にもわたる先のことを考えれば、時計塔にとっては、ほんの「つかの間」の休息だ。

 松江市出身の錦織圭選手がウィンブルドン選手権3回戦でコートを去った。四大大会を除いても、今季はここまでけがの影響で本来の楽しさを感じさせるプレーが続かず、ツアー優勝がない。

 芝のコートでも時折のぞかせたもどかしさは、どこか歯車がかみ合っていない現状をそのまま表していた。だが、まだまだ続く、山あり谷ありの競技生活。それも厳しいトッププロの世界。こんな時もある、と思いたい。

 軽快なステップ、スーパーショットで観客を沸かせるプレーは健在。再び歯車がかみ合った時のことを考えると、期待はしぼむどころか、膨らむ。

 日没の午後9時15分すぎ。「ゴーン」と腹に重く、鐘の音が響いた。不安も心配もいらない。シーズンはまだ終わっていないし、錦織選手はまた大舞台に帰ってくる。

 (本紙特派員・木幡晋介)

=おわり=

2017年7月10日 無断転載禁止

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