プロ目 錦織3回戦敗退 「原点回帰」笑顔見たい

男子シングルス3回戦でロベルト・バウティスタに敗れ、引き揚げる錦織圭=7日、ウィンブルドン(共同)
 9度目のウィンブルドン選手権で男子シングルスの世界ランキング9位、錦織圭(日清食品)は自己最高と並ぶ16強入りを前に3回戦で敗れた。グランドスラムで唯一8強以上がない大会。芝の戦いに手応えを覚えながらも、けがを抱えた今季前半と同様、好不調の波があるプレーで壁にはね返された。国内外で見つめた解説者ら「プロ」が振り返り、四大大会の今季最終戦・全米オープンに向けてエールを送った。 

「プレーの組み立て」評価 芝の戦い

 錦織本人が「毎年良くなっている」と前向きに語った芝のコートの戦いは専門家たちも成長を認めた。

 元プロ選手で解説者の辻野隆三氏が評価したのは「プレーの組み立て」。多彩な球種を交えた、考えたプレーを見せた。「例えば、芝で滑るスライス。第1サーブはフラットを見せておいて、第2サーブはスライスで、相手のタイミングをずらしていた」

 ネットプレーの成長を認めた解説者の坂本真一氏は、その一方で「まだプレーに甘さがある」とも指摘。大事な場面で第1サーブが入らず、ダブルフォールトも。「ストロークも、ラリーでしびれを切らして無理に打ってアウトになる」。集中力を欠き、総じて自ら崩れた印象を持った。

潜在的な不安解消したい 現状と課題

 けがの不安とストレスを含めマイナス要素が多かった今大会。辻野氏は「すごくいいプレーとミスが出る時間の波があった。潜在的な不安を引きずっていた」と指摘。3回戦でラケットを投げるなどコート上でものぞいたイライラは「自分の理想と現実が合ってないから」としつつ「一生懸命練習をしている証拠」と受け止めた。

 「もっとコートで笑顔を見たい。楽しそうにテニスをしてほしい。ナダルやフェデラーはいい表情をしている」としたのは現役プロの鈴木貴男氏。国別対抗戦デビス杯の元監督、神和住純氏も「今の錦織からは『熱』が感じられない。ひたすら上だけを目指していた時のことを思い出してほしい」とし、「原点回帰」を求めた。

実績あるハード体万全に 全米への期待

 プロ10季目の最後の四大大会となる全米オープン。拠点を置く米国、実績十分のハードコートで、鈴木氏は「一番期待できる」とし「あとはけがのことを考えず思い切り戦える体に」と万全で臨めるよう願った。

 神和住氏は、重要なのは「フィジカル」「サーブ」「冷静さ」の3点とし、けがをしないだけでなく「5セットマッチを7試合できる体力」、ラリー戦をさらに優位に進める「第1サーブの確率」の向上などを求めた。

 辻野氏は、8強だった全仏オープンを含め「けがをしても体のピークを戻すことができている」と今季の「進化」を見て取り、けがから大会直前に復帰し準優勝した2014年の全米と重ね「爆発する前兆」と期待した。

2017年7月10日 無断転載禁止