石見銀山 たんけん隊 <8時間目>
今日は仙ノ山(せんのやま)の中腹(ちゅうふく)にある本谷(ほんだに)地区に出掛(でか)けよう。ここには石見(いわみ)銀山の繁栄(はんえい)を象徴(しょうちょう)する遺構(いこう)があるよ。
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先生 今日は石見銀山を代表する間歩(まぶ)の一つ「釜屋間歩(かまやまぶ)」と、謎(なぞ)の巨大(きょだい)な岩盤(がんばん)遺構を見に行こう。
さとる 謎? なんだかわくわくする。先生、遺構って何?
先生 昔の人が住んだ建物など、暮(く)らしの跡(あと)が残っているところのことだよ。
しおり わっ! 大きな岩盤。ここが釜屋間歩ね。

さとる 間歩の隣(となり)に石段(いしだん)があるよ。何かな?
先生 石段の奥(おく)にあるのが謎の岩盤遺構なんだ。
しおり こんな大きい岩盤見たことないわ。
先生 高さが約20メートルもあるんだ。石段の上にはお祈(いの)りのための石碑(せきひ)があったと考えられているよ。2003年に、山肌(やまはだ)の草木を取ったところ突如現(とつじょあらわ)れたんだ。
さとる たったの14年前なの。大発見だね。
先生 さて、ここは何をしていた場所でしょう? 一緒(いっしょ)に考えてみよう。
しおり 岩盤にはテラスのような平らな場所が3段あるわ。硬(かた)そうなのに溝(みぞ)や水たまりも造(つく)られている。
先生 溝は雨水を導(みちび)いて流すためのもので、水たまりにつながっていたんだ。
さとる 水を使うってことは製錬(せいれん)する場所かな。
先生 正解(せいかい)。その水たまりの中で銀鉱石とそれ以外の石を、重さの違(ちが)いで分ける作業が行われていたよ。
しおり 山の中だからこそ貴重(きちょう)な水を大切に使っていたのね。
さとる こうやって銀山の謎がどんどん明らかになるとおもしろいね。
=もっと知りたい= 安原伝兵衛ってどんな人?
備中国(びっちゅうのくに)(現在(げんざい)の岡山(おかやま)県)出身の山師(やまし)(=間歩の経営(けいえい)者)。仙ノ山にある清水(せいすい)寺の観音菩薩(かんのんぼさつ)から「銀の釜(かま)」を授(さず)かる夢(ゆめ)を見て、釜屋間歩を発見したという説話もあるよ。
・石見銀山資料館(しりょうかん)学芸員・藤原雄高(ふじはらゆたか)
2017年7月12日 無断転載禁止