世事抄録 言葉掛け

 先日、高校の時以来半世紀ぶりに入院する経験をした。目の手術が必要となり、出雲市内にある病院の眼科病棟で8日間過ごした。

 手術は午前中の4番目。ずらりと並んだ手術室の一つに車いすで入ったが、前の患者はまだ手術台にいた。室内で待機して、車いす同士ですれ違うラッシュ並みの混雑ぶりには驚かされた。朝7時半すぎには病棟で診察があり、手術、外来を含め勤務医の想像以上の多忙ぶりも垣間見た。

 入院生活は目の治療上、ほとんどがうつぶせの姿勢を強いられながら過ごした。おのずと耳からの情報が中心になる。やがて病室を巡回する看護師さんたちの言葉掛けに注意が向くようになった。

 検温や血圧の測定、薬の確認、配食といった仕事を終えてカーテンを閉める時に、看護師さんの方から「ありがとうございました」という言葉を掛けられるのに気が付いた。本来こちらから言う言葉なのだが、中には「ありがとうございました」「おじゃましました」「失礼しました」と重ねて声を掛ける人もいた。

 そうなると、声を掛けられる側からも、「ありがとうございました」とお礼の言葉が自然に出てくる。重篤な患者が比較的に少ない眼科ということもあるのかもしれないが、看護師さんたちとの丁寧な言葉のやり取りが新鮮に感じられた入院生活だった。

(出雲市・呑舟)

2017年7月13日 無断転載禁止