球友

 これがあの清原和博か。スポーツ専門誌「ナンバー」の表紙を飾った写真に目を奪われた。表情に精気は乏しく、髪は七三分け、地味なスーツ。球界で「無冠の帝王」と呼ばれた強打者のオーラは見る影もない。「一日一日、生きていくしかない」。特集の言葉も痛々しく、不安がにじむ▼覚せい剤取締法違反で逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。人生をかけた野球の晴れ舞台から退き、離婚。虚脱感や寂しさに負け、薬に逃げた。留置場では「114番」と呼ばれ、保釈後に親友が他界。過ちと挫折、試練が重なり合う▼犯した罪は罪。行く道は険しいに違いない。けれど、全てを失ってはいない。特集には、同学年の佐々木主浩やPL学園の後輩・立浪和義ら「球友」が登場。清原を慕い、支え続ける決意を包み隠さず語っている。その覚悟に胸を打たれる▼佐々木は清原の初公判に弁護側の情状証人として出廷。高校3年の1985年、鳥取県で開かれた「わかとり国体」で出会って以来、競い、励まし合ってきた。絆は強い▼「友」という字は手を取り合い、同じ道を歩む姿を表す。真の友とは、挫折や試練の中にあっても、手を離さない人のことだ▼甲子園を夢見る高校球児にとって勝負の夏。山陰両県でも共に泣き笑いしてきた球友たちが、球場で汗と泥まみれになり白球を追っている。結果も大事だが、何よりも目の前にいる友を大切に。もちろん、球児ではない人や小中学生たちも。友と、かけがえのない濃密な夏休みを。(杉)

2017年7月23日 無断転載禁止