航路の空白地帯

 境港のある製造業者は夏から秋にかけて、製品を運ぶトラックの確保に一苦労する。スイカに始まりメロン、ブドウ、ナシなど多くの農産物が次々と出荷を迎えるためだ。関西や山陽、首都圏へ出荷される▼陸送が難しいなら船がある。近年はトラック運転手不足に伴い、船による大量輸送が見直されているが、残念ながら、山陰は日本列島唯一となる定期貨物航路の空白地帯。荷を運ぶには荷主自ら船を手配するしかない▼境港管理組合をはじめ山陰の官民はここ数年、この空白を解消しようと、トラックやトレーラーを乗せるRORO船を使った試験輸送で、航路実現の可能性を探る。24日は苫小牧(北海道)へ向かう船が、農機具や建材などを積み、境港を出港した▼問題は航路を維持できるだけの荷が集まるか。これまで航路がなかった理由は、この一点に尽きる。山陰における航路不在は、多くの原材料や製品の運搬が生じる工業がそれだけ弱いことを象徴している▼ただし、手をこまねいていては他地域との差は開くばかり。先の製造業者も、苫小牧までの寄港地で荷をトラックに積み替え、太平洋側に送って採算が合うかどうか、試験輸送の結果を注視する▼幸い山陰の高速道路網が広がり、港へのアクセスは格段に良くなった。荷探しは広範囲に行える。今回は松江市の企業も荷を託したが、参加のなかった出雲市や雲南市など、道路の先にある地域にもっと売り込まなければ、民間で不可能だった航路はできるはずがない。(示)

2017年7月25日 無断転載禁止