(93)松平康親の所用甲冑(浜田)

実戦向きで特徴的な廻鉢兜つきの甲冑=浜田市教育委員会提供
兜重ね銃弾の衝撃緩和

 浜田市黒川町の浜田郷土資料館が所蔵し、市文化財に指定されている「錆朱塗横矧菱綴二枚胴具足廻鉢兜付(さびしゅぬりよこはぎひしとじにまいどうぐそくめぐりばちかぶとつき)」は、甲冑(かっちゅう)好きもうなる一品。第3代から浜田藩主を務めた松平周防守(すおうのかみ)の祖で、徳川家康に信頼されていた大名・松平康親の甲冑だ。

 実戦向きで、余分な装飾などは一切ない。特徴的なのは、全国でも珍しい「廻鉢兜」だ。当時威力を発揮し始めた鉄砲に対して、鉄板を厚くし、強度を高めた。兜の上にもう一つ、別の兜が付いており、銃弾が当たると回転し、衝撃を緩和する仕組みになっている。

 この甲冑は、松平周防守家が浜田藩主を務めた間、正月のめでたい席に、浜田城の書院の間の床の間に飾られていた記録が残っている。珍しい甲冑は大切に扱われた。

 兜には、外側の外鉢に2カ所、内鉢に1カ所銃弾の痕が残っている。浜田市教育委員会によると、研究者が調べたところ、松平康親が頭に銃弾を受けた記録が残っていないため、安全性を確かめるため、試し打ちを行ったのではないかと考えられるという。

 文化財を管轄する市教委文化振興課の担当者は「浜田を代表する非常に貴重なもの。多くの方に知ってもらいたい」と呼び掛ける。

2017年7月27日 無断転載禁止