レッツ連歌(下房桃菴)・7月27日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
◎今も生きてる下町人情

エダマメを届けて筑前煮をもらい(松江)岩田 正之

◎納豆梅干し揃(そろ)うコンビニ

五十年経ってしまったニュータウン

               (松江)持田 高行

◎デイサービスは今日も楽しく

安来節どじょうすくいに銭太鼓 (松江)澄川 克治

しっかりと童謡だけは覚えてる (松江)河本 幹子

ふうわりとアジサイ色のワンピース

               (松江)森廣 典子

機嫌よくお出かけになるありがたさ

               (美郷)源  瞳子

老いらくの恋が秘(ひそ)かに進行中  (江津)大岩 郁夫

◎朝から晩まで付句考え

ギプスはめ天井ばかり眺めつつ (浜田)松井 鏡子

◎辞書を片手に乗るバスガイド

一日も休まず通う苦学生    (江津)花田 美昭

◎息子の嫁になってください

一とおり家事は教えてございます(浜田)山崎 重子

私たちピンピンコロリの予定です(出雲)吾郷 寿海

◎十年ぶりに銭湯復活

富士山に三保の松原描き足して (飯南)塩田美代子

◎冥土の土産またひとつ増え

瑞風(みずかぜ)が停まる駅でのおもてなし (浜田)放ヒサユキ

したたかに明るく生きるおばあちゃん

               (松江)森  笑子

送るなら便利な魔女の宅急便  (出雲)栗田  枝

◎舌打ちをして電源を切り

なにをするオレは起きてた見てたのに

               (松江)土江 ユミ

画面から消えぬ入会金未納   (益田)石川アキオ

◎嘘(うそ)だったのかあのプロポーズ

新聞に載って気がつくお人好し (浜田)勝田  艶

◎なかなか抜けぬ教壇の癖

自治会長やたら出席取りたがり (出雲)山下  好

寝てる人つついて起こす映画館 (雲南)錦織 博子

◎境港に百台のバス

鬼太郎の像が動いたニセ動画(出雲)はなやのおきな

◎原稿用紙十二枚分

一つくらい載るかもしれぬ連歌欄(松江)山崎まるむ

◎気立てよい人早く見つけて

捨てゼリフ残して彼女去って行き

              (奥出雲)松田多美子

◎ズルッズルッとうどん食べてる

飲み疲れ歌い疲れた三次会   (益田)黒田ひかり

◎築百年の茅葺(かやぶ)きの宿

満天の星に思わず息を呑(の)み   (出雲)野村たまえ

           ◇

 高行さんの下五は、もと「大団地」とあったのを、ちょっといじらせていただきました。私も「○○ニュータウン」というところに住んでいるのですが、だから、というわけではありません。ただ、桃菴センセがお住まいなほどだから、ここもかなり高齢化が進んでおります。団地ができて、よっぽど経ちました。そのくせ、いまだにやっぱり「ニュータウン」と呼んでいる、そのところがおもしろい。そのうち「ゴーストタウン」にならなきゃよいのですが…。

 美昭さんの「辞書」は、ガイドするのに使うのかと思ったら、ガイドの合間に勉強するのでした。

 ユミさんの句も発想の転換がおみごと。「電源を切る」のはテレビをつけた本人じゃなかったのですね。どこの家庭でもあること、らしい。

 同じ「寝てる人」でも、博子さんの場合は、家族や友人ではなさそう。赤の他人と取ったほうが、前句がグンと引き立ちます。

           ◇

 次は、今日の入選句に七七の短句を付けてください。

           ◇

 8月スペシャルの課題は、

  嘘一つつかない人も恐ろしい

に、こちらも七七の付句です。

              (島根大学名誉教授)

2017年7月27日 無断転載禁止

こども新聞