雲南と長崎の絆

 毎年、梅雨が明けると8月9日に思いをはせる。1945年、広島に続き長崎に原爆が投下され、7万4千人余の尊い命が犠牲になった▼長崎原爆忌の1カ月前の9日、長崎市の田上富久市長が雲南市を訪れ、長崎で被爆しながら負傷者の救護に尽くした同市出身の医師・故永井隆博士を顕彰する永井隆記念館などを見学。博士にちなんだ平和学習に取り組む三刀屋小学校を訪問した▼田上市長は、手紙や絵を見つめて、核戦争のむごさを国内外に発信し続けた永井博士の信念に共感。被爆者が亡くなり、被爆体験を伝えることが難しくなっている事態に危機感を募らせ「原爆の悲惨さ、平和の尊さを次世代に伝えたい」と語った▼三刀屋小の児童も、永井博士の生涯や人柄について理解を深めた。病床で核兵器使用反対を訴えた「長崎の鐘」など17冊を執筆した姿などから、「人の気持ちを考えて行動することが平和につながる」といった感想を記した▼三刀屋小は永井博士の2人の子が通った長崎市の山里小学校と姉妹校縁組を結んでいる。10月には6年生が山里小を訪れ、合同で被爆地や長崎市の永井隆記念館などを巡る平和ウオークに取り組む▼二つの小学校の児童が絆を強め、平和の大切さと「己(おのれ)の如(ごと)く人を愛せよ」と説いた永井博士の信念を未来に語り継ぐ意義は深い。2018年は博士の生誕110年を迎える。戦後70年以上がすぎ、永井博士の功績を知らない若者たちも増えている。著書などを通じ博士の生涯に触れる好機にしたい。(道)

2017年7月28日 無断転載禁止