殺処分ゼロの島根に

 朝のウオーキングの途中、焦った様子で自転車をこぐ初老の男性に声をかけられた。庭につないだ愛犬がいなくなったという。よほど慌てたのか、パジャマ姿だった▼見かけたら連絡すると告げると男性は頭を下げ立ち去った。大事に飼われているんだなと、気持ちが温かくなった。最近、入院や施設入所でペットと離ればなれになる高齢者が増えている。泣く泣く保健所に引き取ってもらうと聞くと胸が痛む▼一方で、無責任な飼い主もいた。10年前、出雲保健所で茶色い犬を連れた男性に会った。子犬の頃はかわいかったが成長するにつれて家族全員が世話をしなくなり、狂犬病の注射はおろか散歩も行かないと平然と話した。犬舎から聞こえるクオーンクオーンという犬の鳴き声が今も耳に残る▼保健所に引き取られた犬や猫は、一定期間内に引き取り手が現れなければ殺処分される。島根県内の処分数は2003年度は8千匹を超え、人口比で全国上位が続いていた▼12年の改正動物愛護法で、相応の理由がないと自治体が引き取りを拒否できるようになり、譲渡活動に励む動物愛護ボランティアの奮闘もあって処分数は大幅に減った。それでも16年度は487匹に上る▼譲渡までの世話や餌代、病院代が、ボランティアや寄付でまかなわれているのには頭が下がる。全国では活動費を助成する自治体は多く、島根でも制度ができるといい。犬や猫を飼う人に見てもらいたいのは保健所のホームページ。そこには譲渡の情報が載っている。(衣)

2017年7月30日 無断転載禁止