侍ジャパン

 2020年東京五輪に向けて野球日本代表「侍ジャパン」新監督に就任した元日本ハムの稲葉篤紀氏はさわやかな印象を与える。端正なルックスに謙虚な人柄。現役時代は凡打でも全力疾走し、守備では外野を広く駆け回って長打を封じた。肘をたたんだコンパクトなスイングが特徴で、内角球を窮屈そうにとらえて2千安打を達成した▼その人気ぶりを象徴するのが「稲葉ジャンプ」。チャンスで稲葉氏が打席に立つと、ファンが総立ちとなってその場跳びを繰り返す。由来は定かではないが、因幡の白ウサギ伝説にかけて「イナバの兎(うさぎ」)」のように飛び跳ねるとの説もある▼大勢が同時にジャンプするエネルギーは相当なものらしく観客席の揺れは震度3相応だったという。中継中のテレビ画面は揺れ「危険だから」と自粛を求める球場も現れた▼オリンピックと野球の相性は複雑で、野球が復活するのは東京大会で3大会ぶり。直近の北京大会ではまさかの4位。救援の岩瀬仁紀投手(中日)が打ち込まれ、そのショックで自分が外国に向いていないことが分かったという▼東京大会では早くも早実の清宮幸太郎選手が出場するかどうかに注目が集まっている。進路はまだ決まっていないが、プロ・アマの垣根を取り払った晴れ舞台で「アマでも選ぶべき選手は選んでいく」と稲葉新監督は熱い視線を送っている▼公開競技時代を除き金メダルに手が届きそうで届かなかった日本野球。「金メダルしか頭にない」との新監督の言葉は謙遜に違いない。(前)

2017年8月6日 無断転載禁止