逆一本足打法

 きょう8月9日は語呂合わせで「野球(89)の日」。台風の影響で1日待たされたものの、夏の甲子園がいよいよ開幕した。開星と米子松蔭の初戦は強豪が相手だが、一泡吹かせてほしい▼本塁打を量産し「夏の主役」と目された清宮幸太郎選手の早実は地区大会決勝で敗退。その西東京大会では清宮選手と同じ3年の左打者のユニークな打撃フォームがマスコミの注目を集めた。和光高校・室橋達人選手の「逆一本足打法」だ▼一本足打法と言えば「世界の本塁打王」王貞治さんの代名詞。投手の投球フォームに合わせて右足を高く上げ、タイミングを取った。ところが、同じ左打席でも室橋選手の場合、高く上げるのは軸足となる左足。ふざけているように見える▼だが本人は至って真剣。もともと軸足への体重移動が苦手で、1年の冬、試行錯誤を繰り返す中でたどり着いたフォームという。最初は面食らったというチームの監督も「自分で考え、それで打てているのなら」と認めた▼思えば、日本人大リーガーの扉を開いた野茂英雄さんのトルネード投法や、オリックス時代のイチロー選手の振り子打法も、最初は野球理論から外れていると否定的な声が多かった。指導者の理解があればこそ、花開いた▼昨夏の地区大会で中越え三塁打を放って一躍脚光を浴びた室橋選手だが、今夏は2打数無安打に終わり、初戦敗退。野球はこれで辞めるという。清宮選手のようなプロ注目のスターもいいが、常識にとらわれない個性派の活躍も甲子園で見てみたい。(健)

2017年8月9日 無断転載禁止