(94)城上神社の天井絵(大田市)

今も多くの人たちの目を引き付ける天井絵「鳴き龍」

銀山守る鳴き龍の威厳

 世界遺産・石見銀山遺跡の中核地域に当たる大田市大森町にある城上(きがみ)神社。銀山と大森町の氏神でもある。県指定有形文化財の拝殿の鏡天井に描かれた極彩色の「鳴き龍」は、絵の下で手をたたくと、音が共鳴して竜が鳴いているように聞こえることから、その呼び名が付いたとされる。

 1434(永享6)年、銀山を手に入れた大内氏によって、銀山の繁栄を願い、大田市仁摩町馬路の高山から大森の香語山(愛宕山)に遷座され、さらに1577(天正5)年、毛利氏が銀山を手に入れると現在の場所に遷座、造営されたという。

 その後、大火により焼失したものの、1812(文化9)年4月に現在の拝殿が再建されたとされる。

 天井絵の「鳴き龍」は、現在の国立公園・三瓶山麓の絵師であった梶谷円隣斎守休(かじたにえんりんさいもりやす)の手により、1818(同15)年に描かれた。

 天井から飛び出さんばかりの迫力ある竜の姿は、記念切手のモチーフになったことも。現在は多くの訪問者を引き付ける観光スポットでもある。

 石見銀山の世界遺産登録10周年を記念し、7月30日に開かれた茶会に合わせ、城上神社の拝殿では銀山で亡くなった人たちを弔う「献茶式」が執り行われた。参加者は先人の霊に思いをはせるとともに、銀山を守り続けてきた竜の威厳にも目を奪われたに違いない。

2017年8月10日 無断転載禁止