ウッドデッキでくつろぐために

 ふるさと島根定住財団の地域づくり応援助成事業には、年2回の審査がある。それだけ頻繁だと応募団体も枯渇しないかと思うが、心配は無用。次々と新たなアイデアが名乗りを上げる▼裏を返せば、地域課題やニーズの変化が激しいということ。今年1回目の審査を通過したのは、パソコン関連の障害者就労支援、中山間地での住民参加型林業活性化、空き家の目立つ旧市街地への若者定住。いずれもユニークなものだった▼惜しくも通過できなかった事業も発想や楽しさ、地域課題に向き合う姿勢は引けを取らない。プランを練り直し再チャレンジしてもらいたいものばかり。島根の「地域づくり」は、かなり良い線を行っていると素直に思う▼東京の書店には地方移住に関連する雑誌や本が並ぶ。総務省が東京23区と政令指定都市で実施した住民意識調査でも、農山漁村に移住の意向を持つ人は「条件が合えば」を含め3割に達したそうだ▼都市住民の理想の田舎暮らしは「テラスにつくったウッドデッキでくつろぎ、田園風景を眺めながらビールグラスを傾けること」などと聞くと、ついPRを加えたくなる。縁側でスイカにかぶりつく、庭で流しそうめんをすする、窓を全開にして蚊帳で寝る、すべてが「田舎の贅沢(ぜいたく)」だ▼ただ、貴重な田園風景を守るには、草刈りや山林保全だけでなく、空き家の維持や地域の助け合いが必要とされる。そんな地域づくりも楽しく引き受ける覚悟で、田舎暮らしに参加してくださいよー、都会のみなさん。(裕)

2017年8月11日 無断転載禁止