人口のへそ

 おへそは人間の体の重心に例えられるが、それでは日本の人口でおへそに当たるところはどこか。総務省が2015年の国勢調査に基づいて人口の重心を調べたところ岐阜県関市だった。前回10年調査に比べ関市内を南南東へ1.6キロ移動した。人口のおへそとは国民の体重を同じと仮定してバランスの取れる地点を示し、人口密度の高い地域に向けて移動する▼東京を中心とする首都圏への人口集中に伴い人口のへそは東側に移動。1965年当時、岐阜県美山町(現山県市)にあったのが30年間で約20キロ東へ移り、求心力の強い東京に向けて吸い寄せられている▼今日から迎えるお盆は、そのおへそがつかの間ながら昔の位置に里帰りする時期。大都市から大挙して帰省する人たちを迎える地方をながめながら、おへそもかつての場所を思い出して懐かしんでいるだろう▼民俗学者の柳田国男は死後の霊は天国にも地獄にも行かず、生前住んでいた周辺の山などにとどまっているとした。お盆になると子孫の家を訪ね、子孫はお墓参りなどで先祖の霊を慰める。お盆はお寺が忙しい時期だが、日本人の墓参りの習慣は、仏教伝来以前から伝わる祖霊信仰に根ざすと柳田は主張した▼人口のおへそを山陰両県に当てはめると島根県は出雲市乙立町、鳥取県は倉吉市北面に当たる。前回調査に比べ島根県は東側へ、鳥取県は西寄りに移動し、その移動距離は島根県が際立って長い▼ご先祖をお迎えしながら、島根県の東西人口格差も気になってくる。(前)

2017年8月13日 無断転載禁止