女子ログ スズメとハトの広島

 7月中旬、広島で大好きな「羊のショーン」展と絵本作家・林明子さんの原画展があったので、家族で出かけました。私と夫は行きなれた街ですが、子どもたちは初めてです。どちらの会場も親子連れでいっぱいでした。

 ホテルに泊まり、翌朝、路面電車に乗って原爆ドームへ。資料館はいずれ修学旅行で見学するし、今回は軽く周囲を歩く程度のつもりでした。しかし、いざ着いてみると、真剣な面持ちの外国人観光客や被爆当時の写真を並べるガイドさんがいて、子どもたちは普通でない空気を感じた様子。足取りも重くなり、川沿いの木陰のあるベンチで少し休むことにしました。

 そこへ、自転車に乗ったおじいさんが現れました。ここが定位置という感じで、ベンチの端に腰かけます。すると、見る見るうちに何十羽というスズメやハトが集まってきて、何と、おじいさんが取り出したパンを、その手にとまってついばむのです。何かの昔話みたい。聞くと、鳥がここまで慣れるのに、3年かかったとのこと。

 「やってみる?」とおじいさんが言うので、息子はおずおずと近づき、包まれるように手を添えました。スズメは同じようにパンを食べます。息子はうれしそうにお礼を言って帰りました。

 鈍い私は、数日後にようやく気がつきました。あれが、あの人の平和活動なんだと。

 (出雲市・海苔蔵)

2017年8月15日 無断転載禁止