五輪に向けしたたかな戦略を

 小池百合子東京都知事はやはりしたたかだ。7月の全国知事会で参院選の合区問題が取り上げられた際、合区解消の必要性を訴え、「1票の格差」の是正を求めて合区に賛成する大阪と対照的なポーズを取り、地方に理解がある政治姿勢を印象づけた▼知事会では肝いりの東京五輪のPRにも余念がなかった。都外会場の経費に協賛宝くじの収益を充てられるよう求めたほか、他の知事に呼び掛け、健康増進を目的に大会期間中行うラジオ体操を会場内で一緒に披露するなど隙がない▼開幕まで3年。都内は各所にポスターが張られ、駅の改修工事も進むなどムードが高まる。世界最高峰の選手が日本に集う様子を想像すると、スポーツファンでなくとも胸が躍る▼女子ホッケーで五輪に3度出場した旧横田町出身で実業団チームのコーチを務める山本由佳理さんは「地元スポーツも活気づく」と期待する。出身選手の活躍はもちろんだが、自国開催を交流促進や経済効果につなげられないか▼山陰地方でも多くの自治体が動きだしている。中海・宍道湖・大山圏域の市町村は共同で事前合宿の誘致活動に取り組むことを決定。益田市は自転車競技を対象にフランスなど5カ国と交渉中だ▼大会ビジョンは「スポーツには世界と未来を変える力がある」。遺産(レガシー)を残すには新時代のアイデアも必要。人口減と高齢化が進む地方に五輪の果実を着実に落とすため、官民で知恵を出し合いながら小池知事に勝るしたたかな戦略を練り上げてほしい。(築)

2017年8月19日 無断転載禁止