伝統と革新

 鳥取県東部の伝統芸能・因幡の傘踊りがルーツという北海道美唄(びばい)市の峰延東(みねのぶひがし)傘踊り保存会が19日、鳥取市であったイベントに出演した。本家・鳥取と違い、担い手は女性ばかりで、後ろ手で傘を操る動作もユニークだが、金銀の短冊や鈴が付いた傘は鳥取と共通。遠く北海道に息づく傘踊りに親しみを感じた▼因幡の傘踊りは明治時代の1896年、同市国府町住民が雨乞い伝説をヒントに剣舞の動きを取り入れ考案した。4千人以上の踊り手が市街の目抜き通りを練り歩く鳥取しゃんしゃん祭の一斉傘踊りの原型でもある▼北海道には明治時代、県東部の農家らが集団移住した。北海道の各地に因幡の傘踊りや麒麟(きりん)獅子舞が伝わったという。移住者の心の支えとなる伝統芸能が県東部にあったことが誇らしい▼峰延東傘踊り保存会の踊り手は7人。イベントでは小学生2人も交じって懸命に傘を操る姿に守り伝える労を思った。保存会の矢部幸夫会長は「市の文化財にもなった。継承しなければ」と言う。男子にも門戸を広げているが、なかなか担い手が増えないそうだ▼伝統芸能を取材すると、昔ながらの様式を守り伝えることと、今風に工夫して担い手を引きつけることの兼ね合いに悩む声を聞く。傘踊りは二つあり、伝統と革新は両立しやすいのではないか▼しゃんしゃん祭の傘踊りは伝統ある因幡の傘踊りとの関連をアピールしつつ、飛び入り参加受け入れなど新しい試みをもっと進めればいい。因幡の傘踊りの担い手育成にも役立つはずだ。(志)

2017年8月22日 無断転載禁止