(95)以曽志乃屋文庫(津和野町)

津和野町郷土館で期間限定で展示されている以曽志乃屋文庫
幕末史伝える巻物、絵図

 津和野町が所有する「以曽志乃屋(いそしのや)文庫」は、最後の津和野藩主・亀井玆監(これみ)の業績を巻物81巻にまとめ、たんす二さおに収めたもの。長州、松江、浜田の三つの藩に囲まれていた津和野藩の情勢を記した古文書や、玆監が近親者らに宛てた手紙の数々など、幕末維新史を知る上で非常に貴重な史料が数多く所蔵されている。

 「以曽志乃屋」とは、神道を信仰した玆監に死後贈られた、「慎み努める者」という意味を持つ神号「謹斎命(いそしのやのみこと)」に由来する。大正時代、孫の玆常(これつね)が亀井家の功績を後世に残す目的で編さん委員会を立ち上げたとされ、多額の費用と歳月をかけてまとめた。

 巻物には江戸時代末期、幕府軍が倒幕派の長州藩を討伐すべく津和野藩に訪れた一触即発の状況で、戦火を避けるため玆監が長州藩とやりとりした内容などが記され、当時の藩の状況が如実に見て取れる。

 文庫には巻物のほかに絵図もあり、2015年に日本遺産に認定された津和野町の歴史文化ストーリーの基となった「津和野百景図」も、文庫の付属絵図の一つだ。

 現在、亀井氏入城400周年記念事業の一環で、同町森村の町郷土館で11月12日まで見ることができる。普段は同町町田の森鴎外記念館収蔵庫に保管されており、一般公開は14年ぶり。この機会に足を運び、亀井氏の紡いだ歴史に触れてみたい。

 同館の入館料は一般400円、中高生300円、小学生150円で、町民は無料。開館時間は午前8時半~午後5時で、会期中は無休。

2017年8月24日 無断転載禁止