教員人事権移譲

 「過員」という聞き慣れない言葉が公務員の世界にあるそうだ。職員定数に対し実際の職員数や希望者が上回っていることを指す行政用語で、定数に対する勤務地希望では松江市内の公立小中学校教職員は過員状態にある▼同市が来年度中核市に移行後、教職員の人事権を市に移譲するよう島根県に求めた。公立小中学校の教員の身分は市町村職員だが、給与は国と都道府県が負担し、人事権は県が握っている▼「市職員なのに市が人事を掌握できないのは地方分権の趣旨に反する。国も中核市への人事権移譲に前向きで環境は変わっている」と松浦正敬市長。これに対し県教委は「関係市町村の理解が得られない中で移譲を検討する状況にない」と否定的▼松江市の教職員数は県全体の2割以上の1200人。「いずれは松江で暮らしたい」と同市を生活本拠地とする教職員は1500人いる。移譲を認めると松江市勤務に希望者が集中し同市出身以外の希望者は不利な扱いを受けることはないのか▼県内教員の生活本拠地は東部に偏在し、西部や隠岐の学校は東部からの転勤者に依存している。広域的な人事交流で何とか持ちこたえている現状なのに、松江市が教員を抱え込めば影響は大きいと大半の市町村は反対する▼都市部を生活拠点とする教員にも中山間地や離島の勤務を義務付ける島根県の人事ルールの厳格さは全国有数。しかし縛りが厳し過ぎて適材適所が妨げられているとの指摘もある。教育の質の確保が人繰りのよりどころである。(前)

2017年8月25日 無断転載禁止