花の係長

 1970年代の漫画でテレビアニメになった「花の係長」は、松江市生まれの漫画家・園山俊二さんの作品。主人公のサラリーマン綾路地(あやのろじ)麻朱麿呂(ましゅまろ)氏が、念願かなって係長になった日から始まる▼「花の」は褒め言葉。勤め人なら誰もが目指す係長の椅子だ。と同時に、会社では上司と部下との板挟み、家では妻に責められて「こんなことならならなきゃ良かった」とこぼしたくなる役回り▼係長にもいろいろあった。幹部候補生のスピード昇進や気付けば職場の生き字引型、何でも自分が、のプレイングマネージャー型もいた。あの時代は面白かったなと、出世競争をノスタルジーの中に思い出す人も多いのでは▼就職情報サービスのマイナビ(本社・東京)が今年の新入社員に実施した調査では「出世したい」「どちらかといえばしたい」は8割超。年々減少傾向にあるとはいえ、出世願望が大きく変わったとはいえない▼変わったのは働き方意識の方だ。「仕事よりプライベートを優先」は約62%で5年前から約18ポイント増え、「残業したくない」は約29%で10ポイント増えた。終業後に「会社の人と過ごしたい」は18%で、5人に1人もいないのだ▼花の係長氏は戦後のベビーブーム生まれ。原作は成人向けお色気たっぷりのおおらかさでテレビ放送は夜間限定だった。今の時代、働くこと、家庭を持つことは、個人が最優先だが、どこかにおおらかな人間関係を取り戻すことができないかと思う。働き方と少子化問題解決の糸口に、という意味からだ。(裕)

2017年8月26日 無断転載禁止