女子ログ 船着き場からの花火

 「海辺で花火を見よう!」。お盆前の夕暮れ時に帰ってきた主人が言った。地域の夏祭りがあり、フィナーレに花火が上がるという。

 この日は出雲で最もにぎわう出雲神話祭りの花火大会もあるが、島根半島の日本海に面したわが家からは見えないので、毎年、海辺の花火を楽しむことになる。お盆の準備でバタバタしている私にとって、近くでゆったりと見られる花火はご褒美みたいでうれしい。

 「いいね、見よう!」。主人はウキウキしながら、冷蔵庫からビールを数本取り出して空箱に入れ、隙間に保冷剤を入れた簡易クーラーボックスを作り始めた。私は魔法瓶にアイスティーを入れた。昨年は地べたに座って痛かったことをふと思い出し、ビニールシートもバッグに入れた。

 夜9時。歩いて船着き場に行くと、海はないでいた。15分過ぎた頃、浜辺から一本の光の筋が上がり、花火が始まった。「ドドーン」と乾いた破裂音が周りに反響し、自分の胸をズシンと圧迫した。色とりどりの朝顔や菊の花火は、風車より何倍も大きく、暗闇に堂々と咲き誇る花火に見とれた。

 静かな海辺に一つ一つ上がる花火はいとおしく、花火を一人占めしているようで、時間が止まったようだった。わずか10分間だったが、とても長く感じ、終わってからもしばらく夜空を眺めた。

 (出雲市・こいちゃん)

2017年8月26日 無断転載禁止