公文書管理/公開基準を明確にせよ

 各省庁が管理する記録文書の保存、公開の在り方を巡り、政府の有識者委員会が公文書管理のガイドライン見直しを進めている。委員会は秋に見直し案を提出し、政府はパブリックコメントを経て年内に新たなガイドラインを決定。年明け以降、各省庁が行政文書管理規則を整備する。

 委員会ではまず、保存期間を1年未満とする文書の範囲や廃棄する際の責任の所在を明確にするなどの方向性が示された。

 これに沿って、行政文書として保存するかを判断する責任者を省庁に置き、複数の省庁にまたがる記録は責任者同士が記載内容に食い違いがないかを確認するという見直し案が浮上している。

 財務省は森友学園問題で、国有地売却を巡る交渉記録を保存1年未満の文書として廃棄。加計学園の獣医学部新設計画では、内閣府から圧力があったとする文部科学省の記録文書の内容について、関係者の言い分が対立している。国連平和維持活動(PKO)の日報問題では、防衛省の文書管理が問われた。見直し案はこれら一連の経緯を踏まえた形になっている。

 公文書管理法では政策決定の過程を明らかにし、現在と将来の国民に対する説明の責務を果たすという目的が掲げられている。「個人メモ」を原則公開の対象とするなど抜本的な対応こそが求められている。

 行政文書は公文書管理法で「行政機関の職員が職務上作成し、組織的に用いる」と定義され、役所が1年や5年、30年など5段階の保存期間を決め、期間満了で廃棄するときは首相の同意を必要とする。

 ただ1年未満とするのも可能だ。その場合は役所の独断で廃棄できるため、どんな文書がどれくらいあったか、外部から一切見えない。

 森友問題では国有地売却について、財務省は文書廃棄を盾に説明を拒み続けた。PKOの日報問題は、情報公開請求を受けた陸上自衛隊が廃棄済みを理由に不開示決定をしたが、この文書も1年未満の保存期間だった。

 これを見直し案によって、どこまで変えられるかが重要になる。保存や廃棄を判断する責任者は身内であり、判断が妥当かの検証は難しいため、少なくとも廃棄については、外部の専門家ら第三者が可否の決定に加わる仕組みも考えられよう。

 ただ役所の中には行政文書ではなく個人メモ扱いにすべき文書も存在する。それを保存・公開の対象にするかは、議論が分かれるだろう。

 加計問題ではそうした文科省文書が明るみに出た当初、文科省は「行政文書としては存在しない」としていた。世論の反発が高まり、再調査で約1カ月後に個人メモやメールも含め公開したが、本来公開されるものではないと繰り返し「特例的な調査」としている。

 この件のように、形式上は個人メモでも、担当部局の共有フォルダーに保存されたり、メールで回覧されたりして説明や情報共有に用いられたら、政策決定の過程を明らかにする上で公開されるべき行政文書といえなくもない。そうした基準を明確に定めることが、民主主義のバロメーターといわれる情報公開の徹底につながるはずだ。

2017年8月31日 無断転載禁止