9月1日問題

 夏休み最後の週末小学1年の息子が妻にもたれかかり、涙を流していた。聞けば、学校に行きたくないという。「知らないおじさんに遭うのが怖いんだ」。1学期の下校路で不審者に遭遇し、トラウマ(心的外傷)が残った▼恐怖や死を現実として受け止め始める多感な時期。どう声を掛けていいのか分からなかったが、妻が息子の話を聞き出し、人通りが多い道を通るよう助言したところ、気持ちの整理がついたようだ。きょうも玄関から「行ってきます」との声が聞こえた▼9月1日は一年の中で最も子どもの自殺が多く、日別平均の2.6倍に上る。いじめや友人関係、親とのトラブルなど原因はさまざまだろう。複数の要因が絡み合って追い詰められるのかもしれない▼学校生活が生活の大部分を占める子どもたちにとっては、大人が考える以上に逃げ場がない。親の目が気になり、休むのはもちろん、相談すらできない実態がある▼夏休み明けの自殺に対する認知度は広がり「学校がつらい時は逃げていい」との考えが定着しつつある。学校は大切だが、安心安全でなければ意味がない。児童館や図書館など学校以外に居場所はあると伝えたい▼電話相談を受けるボランティア団体・チャイルドラインしまねの高山幸子理事長は「子どもはまず、大人の反応を見て本当の悩みを明かす」と説く。子どもが大事にされていると実感できるよう寄り添い、アンテナの感度を高めて小さな変化に目を凝らす。新学期を機に親子関係を見つめ直したい。(玉)

2017年9月1日 無断転載禁止