逃げるが勝ちでも逃げ場が肝心

 気が付くと夏休みが終了していた。大人でも長い休みの後は調子が出ないことが多いが、子どもたちはうまく切り替えられただろうか▼最近、夏休み短縮の動きがある。授業の穴埋めや、教員の長時間労働解消が目的。親が勤めに出た後、「夏休みらしい遊びや自然とふれあう事なんか、今の子どもはしていない。ゲーム漬けなので影響はない」というのも一つの理由だ▼そうかもしれないが、何をやるかではないはずだ。夏休みは子どもの特権、奪っていいのか。東京の電車では勤め人らしき若者がスマホゲームに興じている。それが貴重な息抜きだと言われれば、時代は変わったと思うしかない▼夏休み明け後の9月1日に、自ら命を絶つ子どもが増えて社会問題化。それを防ごうと上野動物園は「学校に行きたくないと思い悩んでいるみなさんへ」と題した「逃げのススメ」を発信した▼「アメリカバクは敵から逃げる時は、一目散に水の中へ飛び込みます。逃げる時に誰かの許可はいりません。脇目も振らず逃げて下さい。もし逃げ場所がなければ動物園にいらっしゃい。人間社会なんぞに縛られない、生物があなたを待っていますから」と▼強そうに見えるライオンも、子どものころは逃げ回る。逃げるが勝ちの時もある。ただし逃げ場が肝心だ。リアル(現実)には出会いや人の温かさがあり、ゲームはそこがやや弱い。長い休みは逃げ場を見つける一つのチャンスになるし、それは心の成長期と呼べないか。人もゆっくり強くなればいい。(裕)

2017年9月4日 無断転載禁止