仕事みてある記 建て主に寄りそい夢を形に

建て主の夢に寄りそい設計に取り組む坪倉菜水さん。「建物は建ったその時から街の一部になる」と街づくりの役割にも気を配っています=松江市上乃木、コクーン設計舎
建築士(けんちくし)

坪倉 菜水(つぼくら なみ)さん

 (松江市上乃木)

 建物を建てたい人の夢(ゆめ)を形にするお手伝い―。松江(まつえ)市上乃木(あげのぎ)の建築士(けんちくし)(1級)、坪倉菜水(つぼくらなみ)さん(44)=コクーン設計舎(せっけいしゃ)代表=は、お客さんの希望を丁寧(ていねい)に聞き取り、住む人の将来(しょうらい)に思いをめぐらせ、安全で住みよく、街をつくる役割(やくわり)にも気を配って、建物づくりに取り組んでいます。

 「広いリビングがほしい」「料理を作りながら子どもの様子が見えるキッチンを」…。マイホームを望むお客さんは希望がいっぱい。家族構成(こうせい)はじめ、趣味(しゅみ)、建て増(ま)しの可能性(かのうせい)、敷地(しきち)の面積、形、予算やデザイン、構造(こうぞう)、素材(そざい)、設備(せつび)などを細(こま)かく聞きます。周辺の環境(かんきょう)や地盤(じばん)の強さ、日当たりや風などの気象、防災(ぼうさい)面などを調べ、法律(ほうりつ)面もクリアさせます。お客さんとイメージを確認(かくにん)しながら設計を修正(しゅうせい)し、模型(もけい)も数回作り直して、設計図を完成させます。

 工事が始まると、設計図通りに進んでいるか現場(げんば)を訪(おとず)れ指揮(しき)・監督(かんとく)します。設計図に書ききれない部分やお客さんの希望が変わることもあるので、工事担当者(たんとうしゃ)、お客さんと、一つの物をつくり上げるチーム感覚で取り組んでいきます。

 「お客さんの大きな決断(けつだん)に立ち会うことになりますので、何でも話してもらえるよう、信頼(しんらい)し安心してもらうことが大切です」

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 松江市出身。高校卒業後、飲食店や販売(はんばい)の仕事をしていましたが「ものづくりの仕事がしたい」と興味(きょうみ)がわき、21歳(さい)で同市内の設計事務所(じむしょ)に就職(しゅうしょく)しました。建築士になるには国家資格(しかく)が必要です。まず7年間、働きながら実務(じつむ)を積んで2級を取り、さらに5年間の経験(けいけん)を重ねて1級に合格しました。2級は手がける建物の延(の)べ面積などに制限(せいげん)がありますが、1級は制約がありません。

 主に住宅(じゅうたく)の新築(しんちく)、改修(かいしゅう)、お店などを手がけています。住宅の“健康診断(しんだん)”を行う資格も持ち、改修では傾(かたむ)きや傷(いた)みが目立つ箇所(かしょ)、ほかに比(くら)べ温度が高い部屋など、不具合(ふぐあい)な部分を「医者の問診(もんしん)のように建物から聞き取り」直していきます。

 歴史的な建物の保存(ほぞん)や防災対策(たいさく)、空き家対策、街づくりなどにアドバイスする活動にも熱心に取り組んでいます。「どんな家をつくるかは、わが家からの文化発信と言え、建った建物はその時から街の一部になります。街や家族の歴史を伝える建物をつくっていきたいです」。

 「お客さんが望まれたことが正しく建物になった時はうれしいし、街とつながっている仕事です。楽しいですよ」

★メッセージ

 夢中(むちゅう)になれることを続けるのが大切です。やってみないと分からないことはたくさんあるし、好きか嫌(きら)いか分からなくても、続けるうちに気づけることがあり、どんな経験もむだになりません。たくさんのものにふれ、人と関わるなかで、夢中になれることを見つけられたらいいな。

2017年9月6日 無断転載禁止

こども新聞