朝令暮改も時として

 「朝令暮改」は朝に出した命令を夕方に改めることで、為政者の姿勢が定まらないことを言う。ただ、時として時流を読んだ良い変更もある▼ふるさと納税の返礼品競争が過熱しているとして、総務省は4月、地方自治体に対し返礼品の上限を寄付額の3割までとし、節税目的に利用されやすい家電や貴金属、商品券などを返さないよう通知した▼山陰両県でも地元製のパソコンやオーディオ用品が返礼品リストから外されたが、地方産品に違いはない。遠慮せず載せていれば良かった。外された宿泊割引券、観光ツアーなども、面白いアイデアだと思ったのだが▼多くの地方自治体はしぶしぶ従う姿勢を見せていたが、中には「虎の子」の収入源だと、突っぱねるところも。混乱のさなか、野田総務相は今月に入り「自治体に任せるのが当然」として、来年度は通知を出さない方針を表明した。これは良い方の朝令暮改だろう▼ふるさと納税には都市部に集中する富を「地方に還元」する目的がある。入るべき税金が奪われる中央には反対意見が強い。また、返礼品や諸経費を除くと自治体の手元に残るのは一部で、税金の仕組みとしてもやや弱い面がある▼それでも、ふるさとを離れた人が、ふるさとを思って納税する、という納税の仕組みは、国土の均衡ある発展に役立つ一つの理想型だ。今後、節税目的の寄付が減ると、本来の自治体間競争に場面が移る。ふるさとの魅力を訴えて、息の長いふるさと応援団を集めるという、知恵比べである。(裕)

2017年9月11日 無断転載禁止