萩・石見空港の重い宿題

 夏休み終盤、宿題の遅れを取り戻そうと、机に向かう小学生のわが子に、妻が「アリとキリギリスの話を知ってる?」と切り出した▼有名なイソップ童話。夏の間、アリは冬に備えて働き続け、キリギリスは歌を歌って過ごす。冬になり、食料の蓄えのないキリギリスはアリに助けを求める。危機への備えを怠るといざという時に困る。将来を考え、行動し、準備するのが大事というのが教訓の一つだ▼妻の言葉を聞き、島根県の萩・石見空港羽田便への対応が頭に浮かんだ。昨年度、搭乗者数が低迷したにもかかわらず、緊急対策を講じたのは本年度の6月補正予算。本年度が国の政策コンテストによる2往復化の最終年度と分かっていながら後手に回った▼4日に発足した溝口善兵衛知事をトップにした県主導の対策会議もしかり。関係者からは「付け焼き刃」「対応が遅い」との声が漏れる。財政難の中、運賃助成など公金投入の対症療法は限界を迎えている。必要なのは企業誘致など基礎的需要の底上げによる安定利用だ▼溝口知事に政策提案した若手職員は「石見の発展のために空港を使って何ができるか」と問題提起した。人口減少が進む地域をどう守るのかの視点で、旅客機以外の空港の活用も考えなければならない時期がくるだろう▼13日予定の有識者懇談会を経て、国は月内にも2往復の継続可否を判断する。結果がどうであれ根本的な課題は変わらない。県営空港の管理者として責任と重い宿題を背負う県。アリになるしかない。(添)

2017年9月13日 無断転載禁止