対北朝鮮制裁/履行徹底し実効性を

 国連安全保障理事会が6回目の核実験を強行した北朝鮮に対する制裁決議案を採択した。北朝鮮の核・ミサイル開発に関連した追加制裁は8月に採択されたばかりだ。それでも北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有するに至った。制裁の実効性があらためて問われている。徹底した履行が求められる。

 北朝鮮が初めて核実験を実施した2006年以来、国連安保理の制裁決議はこれで9件目だ。段階的に制裁対象を拡大したにもかかわらず、北朝鮮に核とミサイル開発を放棄させることはおろか、開発のスピードを遅らせることすらできなかった。むしろ近年は核実験の威力を増強、弾道ミサイルの種類も多様化させている。

 なぜ北朝鮮を止めることができないのか。国際社会は現状を深刻に受け止め真剣に考える必要がある。特に、制裁の抜け道を提供しているとされる中国、ロシアと北朝鮮の間の貿易関係を検証することが求められる。

 長期にわたり制裁圧力を受け続けている北朝鮮が、経済システムを制裁に対応できる構造に転換しているとの指摘もある。貿易分野での抜け道が存在することも事実だ。制裁が効果を確実に上げるには、この抜け道を断ち切ることが重要だ。

 米国が作成した当初案には、原油禁輸や金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の海外資産凍結、北朝鮮船舶への貨物検査などの厳しい措置が盛り込まれていた。最終的にこれらの措置は見送られたが、繊維製品の禁輸や海外派遣労働者の契約制限などが盛り込まれ、北朝鮮の外貨獲得の道はさらに狭まるとみられる。

 特に、既に禁輸措置を受けている石炭に次ぐ輸出商品である繊維製品の禁輸は、委託加工が主流の北朝鮮の繊維製造業に直接的な打撃となろう。軍需部門ではなく民生部門に直結する措置だ。

 北朝鮮は、外貨獲得の道が制裁決議の度に閉ざされていくのは、米国の「敵対的政策」のためではなく、自らの核とミサイルの開発が招いた結果だと認識し、これ以上の挑発的な行動に出ずに現実を直視すべきだ。

 決議内容は、米国が作成した当初案より後退はした。しかし、採決が見送られた原油禁輸などの厳しい措置は、北朝鮮が弾道ミサイル発射などを続ければ、いつでも制裁対象となり得る。当初案を公開した今回の制裁論議には、警告の意味も込められている。

 北朝鮮はこうした国連安保理の意図を真剣に読み取る必要がある。制裁に反発して弾道ミサイル発射などを繰り返す悪循環から脱皮しなければ、いずれ体制崩壊の危機に直面することは避けられなくなる。

 日韓は、今回採決が見送られた措置のうち、北朝鮮関連の貨物船舶に対する検査が近い将来あり得るとの覚悟で準備すべきだ。あらゆる手段の動員を容認する船舶検査が採決されれば、公海上での銃撃戦など局地的な衝突が起きる可能性もあり得る。

 朝鮮半島周辺の水域が船舶検査の集中する舞台となることを考えた場合、日韓の連携が不可欠だ。シミュレーションを繰り返したり、船舶取り締まりの経験を共有したりすることは、地域安保にもプラスとなるだろう。

2017年9月13日 無断転載禁止