レッツ連歌(下房桃菴)・9月14日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 なかなか来ない祭りの行列

夜明けから最前列に陣取って  (江津)花田 美昭

工作の折りたたみイス重宝し  (益田)吉川 洋子

アドリブでつなぐベテランアナウンサー

               (益田)黒田ひかり

泣いていた背中の子ども重くなり(松江)水野貴美子

まあ一杯もう一杯と勧められ  (松江)植田 延裕

まっすぐな道をフラフラ右左  (雲南)横山 一稔

千貫の神輿(みこし)が揺れる江戸担ぎ

           (東京・八王子)藤江  正

ガードマン一人二人じゃ手に負えぬ

           (広島・北広島)堀田 卓爾

この人と二人いられるだけでよい(松江)加茂 京子

行っといでガマンは体に悪いから(浜田)勝田  艶

待ちきれぬ父さんすでにデキアガり

               (出雲)野村たまえ

楽しみはゆるりゆるりのほうがよい

               (松江)田中 堂太

聞き耳を立てて待ってる武士の妻(松江)川津  蛙

玄関の戸締りしたか気にかかり (出雲)原  陽子

瑞風の停車に合わす回り道   (雲南)錦織 博子

もうすぐと電話してくる鎧(よろい)武者

            (沖縄・石垣)多胡 克己

瑞風の出発時刻さし迫り    (浜田)ラッカーY

かき分けて帰りのバスにやっと乗れ

               (松江)河本 幹子

三本もカラにしちゃった缶ビール(江津)岡本美津子

片方に両足入れて袴(はかま)はき    (出雲)矢田カズエ

一か月まちがえている粗忽(そこつ)者  (美郷)芦矢 修司

突然の土砂降りとなる橋の上  (出雲)行長 好友

馬上には殿に扮(ふん)した隠岐の海  (益田)石川アキオ

試し撮りしているうちに電池切れ

            (兵庫・明石)折田 小枝

いま出たと蕎麦(そば)屋の亭主言うけれど

               (松江)澄川 克治

青い眼はひときわ目立つ浜田節 (浜田)勝田  艶

ママ見つけキッズつぎつぎハイポーズ

               (松江)土江 ユミ

踊り手は三歩進んで二歩下がり (浜田)松井 鏡子

目の前はアッという間に通り過ぎ(出雲)吾郷 寿海

いま一度打ち水をする家の前(出雲)はなやのおきな

しらじらと東の空が明けてくる (米子)板垣スエ子

           ◇

 正さんの句は、一般論からすれば、前句の「祭り」に付きすぎですが、「千貫の神輿」「揺れる」「江戸担ぎ」という、その勇壮さに、私はぞっこん惚(ほ)れ込んでしまいました。

 蛙さんの下五は、侍に扮している人の奥さん、というだけの意味なのですが、「武士の妻」と表現すれば、江戸時代にでもタイムスリップしたような気になるから不思議です。

 克己さんの句も、スマホかガラケーか、それを「鎧武者」が使いこなすという、一見チグハグな表現が功を奏しました。

 修司さんの句は、「まちがえていた」とあったのを、「いる」と直させていただきました。まだまちがいに気づかないでいるほうが、より「粗忽者」らしい感じが出ると思ったからです。

 別にだれであってもいいようなものの、克治さんの句は、やっぱり「蕎麦屋の亭主」でなければならない。(日ごろから「いま出た」と言い慣れているようですから。)「はなやのおきな」じゃ意味がありません。

 あ、そのおきなさんの句、私の今回のイチオシです。

           ◇

 さて次は、

  当てずっぽうで百点満点

というめでたい前句に、めでたい長句(五七五)を付けてください。

              (島根大学名誉教授)

2017年9月14日 無断転載禁止

こども新聞