「死の白鳥」の存在感

 北朝鮮のミサイル試験発射や核実験が起きるたびにグアムから飛来し、航空自衛隊と合同軍事訓練を展開する米空軍の「B-1B」爆撃機。青森県三沢市の航空自衛隊三沢基地で10日にあった航空祭に12年ぶりに飛来し、この目で見てきた▼「戦略爆撃機」とする報道もあるが、国際条約で核兵器は積めない改造が施されている。全長約45メートルと大型で、227キロの通常型爆弾は84発も搭載が可能。マッハ1.25という超音速で敵地に侵入する▼北朝鮮はB-1Bの運用を名指しで批判しており、脅威の裏返しに聞こえる。米空軍が「死の白鳥」と呼ばれる爆撃機を一般公開する意図は、明らかに北朝鮮への示威が目的だ▼一方で、機体に手で触ることができたのには驚いた。緊迫する朝鮮半島情勢で米軍の「伝家の宝刀」と思い込んでいたが、冷戦時の古い機体で軍事機密という意識は薄く、塗装がはげた部分もあった▼航空祭では、今年1月、米軍が国外で初めて岩国基地へ配備した最新鋭ステルス戦闘機F35Bが2機展示された。観衆と機体が完全分離され、小銃を持った複数の兵士が警備するという厳戒態勢、伝家の宝刀はこの2機に見えた▼再び日本を飛び越えたミサイルも、北朝鮮が三沢基地を意識したという見方がある。米軍にとって東アジア最大の航空拠点になった岩国基地に北朝鮮が照準を合わせる可能性は十分にある。近接する石見地方は上空に響く米軍機の騒音に加えてミサイル通過という新たなリスクを抱えている。(釜)

2017年9月16日 無断転載禁止