不気味な「文明への挑戦」

 北朝鮮の挑発が止まらない。制裁と反発の応酬が加速し、深刻化する。それだけに6回目の核実験に合わせて北朝鮮が言及した「電磁パルス(EMP)攻撃」が不気味だ。全国的に大停電や電子機器の故障が起きる悪夢のような予測も伝えられる▼聞き慣れない攻撃だが、高度30~400キロで核爆発を起こすと、強力な電磁波が発生。それが大電流となって送電線を伝い電力・通信インフラが広範囲に損壊されるという。たった一発で米国全土に被害が及ぶ可能性も指摘される▼1962年に米国が太平洋上空400キロで実施した核実験では約1400キロ離れたハワイで停電や電話障害が起きた。これまで重大視されなかったのは、核爆発の熱線や爆風は地上に届かず直接の死傷者が出ないからだろう▼電気が普及していない時代なら全く意味のない攻撃だが、今は社会インフラも生活も、ほぼ全てを電気・電子機器に頼っている。被害が広範囲に及べば、復旧には数週間から最悪数年かかるといい、長引けば生活まひによる二次的な人命被害が膨らむ。原発への影響も気になる▼一方、攻撃する側は、弾道ミサイルの誘導や大気圏への再突入技術が未熟でも、相手に大きな打撃を与えられる。しかも、相手が先進国であればあるほど威力は増す。まるで「文明への挑戦」のような戦術だ▼過剰反応は禁物だが、日本は対応が遅れていて、政府が急きょ検討を始めたところ。解散総選挙になれば影響が心配だ。「備えあれば憂いなし」を急いでほしい。(己)

2017年9月19日 無断転載禁止