縛られ解散

 衆議院の解散は誰が決めるか。内閣不信任案が可決されたときなどは、内閣は解散をすることができる。それ以外は内閣の助言を受けて、天皇陛下が解散すると憲法に書かれている▼実際は後者の例が多いので、解散は内閣を代表する首相の専権事項といわれる。解散権は「伝家の宝刀・解散剣」。政権の浮沈を懸けて首相が抜くともいわれるが、何とも日本人的な言い回し▼ただ、今の常識がすべてではない。1976年、三木武夫首相は党内からの(内閣を倒す)倒閣運動にさらされ、対抗して衆院を解散しようとするが15閣僚が署名を拒否。解散できないまま任期満了を迎えてしまう▼世に言う「三木降ろし」。現憲法下で初の任期満了による総選挙となり、自民は結党以来初の過半数割れの敗北を喫する。クリーン政治を掲げた三木首相だが、ロッキード事件の解明を急ぐあまり党内融和を損ねたとされる▼2009年も任期間際、麻生太郎首相は8月上旬投票の方針、と新聞が報じた後、日程先延ばしを表明。これが「ブレた印象」を与え、求心力を失う。任期がちらつく「縛られ解散」は、政権の命取りになりかねない▼戦後の衆院議員の在職日数は平均976日。安倍晋三首相が28日の臨時国会冒頭で解散剣を抜くと、1020日超えとなる。与党内には「機は熟した」との声がある。動き出すと誰にも止められないのが政治だが、どこに向かわせるかは有権者一人一人の意志による。そこはしっかり縛って、注文を付けたい。(裕)

2017年9月21日 無断転載禁止