受験生「リハビリ専門職」敬遠/仕事内容の説明不足一因

島根県立大学出雲キャンパス副学長 山下 一也

 現在わが国では、リハビリテーション専門職として理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士がある。この4職種は人体の機能回復などリハビリに携わる医療職として病院、施設で役割を発揮している。

 リハビリは医療保険、介護保険のそれぞれに位置付けられている。すなわち医療保険のリハビリは、手術後など主に急性期から回復期で、体の状態改善が期待できる患者が対象である。一方、介護保険のリハビリは、日常生活への適応を重視しており、在宅向けには訪問型と通所型がある。

 全ての団塊世代が後期高齢化社会に突入する2025年に向け、人口構造の変化や地域情勢の変化を受け、医療や介護にかかる問題やその対策も大きな転換期を迎えている。

 すなわち、地域包括ケアという考え方が地域医療においては基本である。地域包括ケアとは、地域における「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の五つのサービスを一体的に提供するケア体制を構築しようとするものである。

 地域包括ケアを推進しようとしている今だからこそ、リハビリ専門職は地域包括ケアには欠かせない重要な役割を担っている。今後、島根県では、訪問リハビリのような地域の特徴を考慮したリハビリが必要になってくるだろう。

 例えば手すりを付けたり、段差を解消したりなど「周りの物理的環境を整える」だけでなく、市町村に掛け合ったり、介助指導で家族との関係を調節したり「社会的な環境の調整」ができるリハビリ専門職が求められると思われる。

 ところで、リハビリ専門職の資格については、大学と専門学校のどちらでも国家受験資格が得られる。だが、大学は、大卒という学位取得が目的であるのに対し、専門学校は、就職を意識した知識や国家資格取得に特化している。このようなリハビリ専門職の大学・専門学校への進学者が県内では少なく、現在、県内の全4専門学校も定員確保するのに苦戦が続いている。

 高校生に敬遠される理由の一つに県内病院の求人数が少ないこともあるが、高校生・保護者・高校の進路指導担当の先生に、あまりリハビリ専門職の内容が理解されていないことも大きいと思う。実際、高校の進路指導教員の話では、高校生は理学療法士の仕事内容については若干イメージができても、作業療法士、言語聴覚士になるとあまり理解されていないという。

 本年度のある模試で、中四国の高校生の進路希望調査をみると、リハビリ専門職への進路選択数が多いとはいえない。そこで受験生の進路動向も踏まえ、奥出雲町の島根リハビリテーション学院は2019年度に専門職大学を目指し、浜田市のリハビリテーションカレッジ島根は今年から、在り方検討会を設置し、提言を基に新たな一歩を踏み出そうとしている。

 2校はともに1998年に地元が積極的に誘致した経緯や、四年制の専門学校(県内の他の専門学校2校は三年制)であること、中心部から離れた地域にあること、地域活性化の役割も担っていることなどかなり似通っている。

 今後、県内各専門学校・関連職種団体などは、リハビリ専門職に対して小中学生からキャリア教育の仕組みづくり(小学生=仕事を知る、中学生=仕事を体験、高校生=仕事を選択)を考え、自治体や地域住民への積極的な働き掛け(専門学校から地元行事への参加や協力)をするなど、今以上に関係者が協力してリハビリ専門職の魅力を発信する努力が求められる。

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 やました・かずや 医学博士、専門分野は神経内科、神経心理学。島根医科大学医学部卒業後、1991年にカリフォルニア大学デービス校神経科研究員として留学。94年に津和野共存病院院長、島根医科大学付属病院第3内科講師、島根県立看護短期大学教授などを経て、2012年4月から島根県立大学出雲キャンパス副学長。

2017年9月24日 無断転載禁止