子育てと年金

 幼児教育や保育の無償化に向けて、こども保険の創設を提唱している自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長が、企業経営者らに年金の返上を呼び掛けている。老後の生活に余裕のある人たちの年金を子育て支援に回してはとの提案だが、社会保険料の負担増につながるこども保険構想そのものに経済界は反対の意見が多い▼子育て支援と年金はあまり結び付かないようにみえるが、年金制度を少子化対策に生かせる可能性は高いと経済学者の小黒一正法政大教授は指摘する▼その方法として子供を育てた世帯に年金を上乗せ支給する案を紹介している。現在の日本の年金制度は、引退世代が受け取る年金を現役世代が負担している。将来の年金財政を担う子供をより多く育てた世帯ほど年金を多く受け取るようにすれば、出生率を上げる要因になる▼保険料は同じように納めてきたのに、子供を持たない世帯を年金受給で差別するのかという声も出そうだが、現役世代に支えられている以上、支える側の増加に貢献した「報償」の意味はあるかもしれない▼損得勘定に働き掛ける打算的な発想だが、ドイツでは介護保険にこの考え方を適用し、出生数に応じて保険料に差を設けている。教育無償化を「人への投資」とする考え方も根っこは同じだ▼あちらを立てれば、こちらがきつくなる。高齢者に偏っているといわれる日本の社会保障制度は世代間対立としてみられやすい。子育てが老後の不安解消につながる世代間連携。近づく総選挙で議論してほしい。(前)

2017年9月25日 無断転載禁止