河内山か

 野党再編劇を誘発した「寝耳に水」の解散。その背景の一つとされる学校法人「森友学園」を巡る問題は、前理事長夫妻が詐欺などの罪で起訴され一段落。今後は問題の核心、不当に安い価格で国有地が売却されたかどうかの捜査が焦点になる▼補助金をだまし取った被告は悪人に違いないが、その物言いぶりや立ち回り方は、年配の方は時代劇映画でご存じの御数寄屋坊主・河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)を思い出させる。講談の『天保六花撰(てんぽうろっかせん)』が元で歌舞伎でも演じられる▼この河内山、大名家などの悪行に付け込み、歌舞伎では「松江の殿様」もゆすられる。本来は悪党だが、強きをくじいて一泡吹かせる筋書きが庶民の鬱憤(うっぷん)晴らしになったようだ。題名の頭に「痛快!」と入れた作品もある▼前理事長の方は、波紋が大きかった「100万円発言」で「首相への侮辱」と国会で証人喚問された。が、後日その「返済」を口実に、予期せぬ所に芝居がかった登場をしてみせた。河内山に劣らぬ役者ぶりだ▼前理事長が悪者であればあるほど、一時期にせよ、その教育方針に「共鳴した」と公言した首相や、PRの手助けになる講演をした人たちは、単にだまされた「被害者」で済むのかとも思う▼時代が天保年間なら、ここは江戸町奉行の「遠山の金さん」に「この桜吹雪に見覚えがねぇとは言わせねぇぜ」と裁いてほしいところだ。ただ、問題が大阪の国有地なので「勘定奉行配下には手が出せねぇ」となる心配もある。庶民の胸のつかえは下りるのだろうか。(己)

2017年9月30日 無断転載禁止