カラフルビューティ

 「みんなちがってみんないい」。大正末から昭和初期にかけて活躍した童謡詩人、金子みすゞの「わたしと小鳥と鈴と」の結び。前段を要約すると、わたしは小鳥のように空は飛べないが、小鳥はわたしのように地面を早く走れない。わたしが体を揺すっても鈴のようなきれいな音は出ないが、鈴はわたしのようにたくさんの歌は知らない-それぞれが個性を伸ばし合う生き方を呼び掛けた▼中学生が弁論を競う少年の主張島根県大会で本年度、最優秀の県知事賞に選ばれた海士中学校3年の井手上漠君の演題は「カラフル」。サッカーより人形で遊ぶ方が楽しかった自分が、人とは違うと気が付いたのは小学校高学年の頃▼周囲の目を気にして肩まであった髪をばっさり切り、なるべく周りの男子に合わせるようにしたが、鏡をのぞき込むたび自分ではない自分を見るのは本当につらかった▼そんな自分をみて母親は「漠は漠のままでいいよ」。その言葉に背中を押されて、ありのままの自分を出すようになってから周囲の視線も次第に変わっていったという。自分らしく堂々と生きることで友達も理解してくれ、楽しく話せるようになった▼ファッションに興味がある井手上君の将来の夢は美容師になること。人を美しくして喜んでもらいたい。一人一人が自分を自由に表現できるカラフルな世界になったらと将来を見つめる▼お互いに違うからこそ相手に興味がわき、世界が広がる。それぞれの多様性を認め合う島根からのメッセージである。(前)

2017年10月1日 無断転載禁止