政治の行方 第1部・戦いの構図(1) 島根1区

 自民守りへ地上戦

    新党の風浮動票狙

 10月10日公示、22日投開票の衆院選は、新党「希望の党」を率いる小池百合子東京都知事と民進党の前原誠司代表が仕掛けた両党の合流で、政権選択の色合いが強まった。山陰両県の4小選挙区で議席を独占してきた自民党に、新党などの野党がどう挑むのか。前哨戦を探った。

 「大変な状況だ」―。解散翌日の29日、10選を目指す自民党前職の細田博之前党総務会長(73)が、出雲市平田町で党所属県議が集めた520人を前に新党への危機感を口にした。

 2007年参院選島根選挙区で自民党現職を破り、政権交代への足がかりを作った亀井亜紀子元参院議員(52)との初対決。昨年民進党入りした亀井氏は新党から出馬する意向を決めた。

 細田陣営の気がかりは1区の有権者の約6割を占める約17万人の大票田・松江市の行方だ。14年の前回選は、県西部出身の民主党(当時)県連代表が相手だったが、12年の前々回に比べて約7千票減らした。

 新党への追い風を期待して浮動票を狙う亀井氏に対し、守りを意識した地上戦を展開。30日に細田氏は隠岐に渡って会合を開き、週明けからは松江市議が企業を回る。比良幸男選対本部事務総長は「相手は都市型政党。地方のために誰が必要かを訴える」と力を込める。

 ただ、強力な対抗馬が現れなかった過去の選挙でのツケも残る。選対幹部が「いい加減だった」と認める連立政権を組む公明党や同党の支持母体・創価学会との協力。解散当日の28日、同市内の自民党県連事務所を訪ねた公明党の吉野和彦島根県議が「学会が怒っている」と福田正明幹事長に告げた。

 2区の自民党前職は公明党、創価学会の幹部と自ら連携を確認した一方、細田氏側からは連絡がないのが理由だった。いらだちを物語るように公明党が4日に同市内で開く集会への出席依頼は届いていない。

 支持者に高齢化の波

 国政復帰を目指す亀井氏も課題を抱える。

 「支持者のデータを出してほしい」―。24日、同市内の民進党県連事務所で岩田浩岳幹事長が亀井氏に迫った。

 「2千人くらい(のデータ)はある」と答えた亀井氏。県西部を地盤とし、自民党にも所属した父・久興氏からの支援者が多く、郵政関係者も少なくない。関係者は最盛期に同市内で1200人の支援者がいたと語るが、高齢化が進む。郵政民営化で自民党から離れた郵便局長も同党に回帰。6月には細田氏が1区内の亀井氏の古参支持者宅を訪れ、くさびを打っていた。

 参院議員時代に政策の違いなどで距離があった連合島根との関係修復も道半ばだ。出馬表明から1年半近くたつが、連合内で「顔が見えない」との苦言が続出。新党への合流を巡り、憲法改正や安全保障関連法などに反対する民進系の地方議員からは「改革保守の理念には乗れない」との批判が上がり、しこりが生じている。

 足元が揺れる中、陣営は2区内の支援者が泊まり込みで電話作戦を実行するホテルを押さえ、「頼みの綱」とする久興氏が公示後は事務所で指揮を執る見通しだ。

 共闘風前のともしび

 一方、共産党との候補一本化は風前のともしびだ。

 解散直後の28日夕、同市内でマイクを握った党県委員会の尾村利成副委員長は「野党共闘を反故にした」と亀井氏を名指しで非難。稼働反対を訴える中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)を抱える上に、亀井氏の新党参加の意向で、新人の岩田剛県委員会常任委員(36)の出馬は確実になった。

 反自民票の結集は困難になり、細田陣営の比良事務総長は「一本化されたら脅威だった。助かる」と口にした。

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<2014年衆院選結果>

細田 博之氏(自民) 100,376票
和田章一郎氏(民主)  38,346票
上代 善雄氏(共産)  17,479票
※民主は現在の民進党

2017年10月1日 無断転載禁止