政治の行方 第1部・戦いの構図(2) 島根2区

自民「逆風」を警戒

   民、社は連携維持確認

 衆院解散の情報が駆け巡った9月中旬以降、島根2区に出る自民党前職の竹下亘党総務会長(70)=6期=の出雲市内の事務所には「なぜ今なのか」「大義はない」との支持者からの電話が相次いだ。

 昨年8月から1年間、党国会対策委員長を務め、森友、加計学園問題で安倍晋三首相の関与を追及する野党と折衝。「首相をかばっている」との批判的な声も上がった。

 復興相として前回選を戦った以降、衆院予算委員長を含め、国会や党要職を歴任。自身も認める「安倍1強」に伴うおごりや緩みへの「逆風」をもろに受ける立場だ。

合区解消めど立たず

 9月30日、東京都内であった党の全国幹事長会議で「厳しい戦いだが、子や孫のため、未来のために必ず勝つ」と訴えたが、足元の古里では課題が山積する。

 昨夏参院選で鳥取、島根両選挙区で導入された合区の解消は見えない。兄の故・竹下登元首相が提唱した「ふるさと創生」の理念を受け継ぐものの、人口減少は進み、JR三江線は廃止が決まった。

 有権者との距離を縮めようと、今秋以降に計画した意見交換は、解散で見送りとなった。全国各地に応援に駆け付けるため、公示後の地元入りは選挙戦最終日だけの見込みで、自ら思いを伝える機会はほとんどない。今月2、3の両日は4地区で会議を開き、党所属の地方議員らが支持固めを急ぐ。

 加えて、新党「希望の党」を率いる小池百合子東京都知事らが仕掛けた野党再編で、安倍政権継続の是非がより厳しく問われる可能性がある。選対本部長の佐々木雄三島根県議は「刺客を送り込まれるのが一番怖い」と新党の動向を警戒する。

1区の新人支援へ

 「自民王国」で前回選と同様、それぞれ候補を擁立する共産、社民両党。民進党を交えた共闘が事実上崩壊し、2党での候補一本化が焦点になる。

 新人の向瀬慎一党県西部地区委員長(46)を擁立する共産党。民進党が「非自民・反共産」を旗印にする新党への合流を決断したのを受け、後藤勝彦県委員会委員長は、政策協定締結や相互支援を条件に「社民党との共闘を追求する」と秋波を送る。

 長年培った民進党・連合との関係か、共産党との共闘か―。板挟みの中、新人の福原宗男代表(70)を擁立する社民党県連が選択したのは、前者だった。

 「共産党とは、絶対に政策協定を結ばない。約束する」―。9月28日夜、携帯電話を握りしめた細田実県連幹事長が自治労県本部の関係者に繰り返し訴えた。護憲や脱原発で一致し、約1万1千人の組合員を擁する連合島根傘下の自治労からの支援は必須だった。

 29日に共産党県委員会との協議が不調に終わり、共産党への抵抗感が根強い連合島根の幹部に、同党が望む条件をのまないことを伝達。翌30日、連合島根は会合に出席した福原氏に支持する考えを伝え、民進党県連も推薦を決めた。社民党は見返りに、1区で新党から出馬予定の民進党県連副代表を県連として支援する方針だ。

 一方、共産、社民両党の中央による候補一本化の調整は11都府県20選挙区で進み、島根2区の扱いも中央が判断することになる。社民党県連内では「共産党が候補を下ろしてくれれば」との本音が漏れるが、比例での議席獲得という目標が重なる2党の共闘は、困難な情勢になっている。

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<2014年衆院選結果>

竹下  亘氏(自民) 123、584票
山本  誉氏(社民)  34、558票
向瀬 慎一氏(共産)  20、479票

2017年10月2日 無断転載禁止