出世払い

 世の中は、すっかり選挙モード。でも大事なことがかすんでいる。「働き方改革」や、成人年齢引き下げの民法改正議論は先送り。注目の「教育無償化」も、聞こえの良い集票道具にされないか心配だ▼教育無償化の柱は4本。大学授業料を国が負担し卒業後に所得に応じて返済を求める「出世払い」。低所得世帯の成績優秀な学生向け「給付型奨学金」の拡大、企業・従業員が保険料を負担する「こども保険」と「教育国債(借金)」発行による財源捻出だ▼それぞれに一長一短がある。出世払いは低所得者への返済免除が増えれば破綻する。給付型は新たな安定財源が必要だ。教育国債は将来に付けが回され、結局若者を苦しめる。子ども保険は子どもがいない人に不公平感がある▼教育機関への予算配分率は、先進国の平均を下回る。財務省は「そこそこ良い線をいっている」というが、今が将来を見据えてしっかり手を打つタイミングではないのか▼天然資源の少ない日本が経済成長や社会の発展を目指すには、人材資源が頼りとなる。そうカタイ言葉で言わなくても、直接的に子育て世帯をどれだけ励ますことになるか、政治の感性が問われるだろう▼学生時代「出世払いで良いよ」が口癖だったのは、近所の定食屋さん。おかずを増やしてくれたくらいだが、出世払いどころかお礼もしていない。向こうも貧乏学生への励まし程度だったのだろう。しかし、社会人になって「少しは誰かの役に」と思う場面で、あのひと言は力になった。(裕)

2017年10月3日 無断転載禁止